CYBOZU DAYS2019 大阪の2日目に参加しました。
元々、TwitterでCYBOZU DAYSのことは知っていましたが、なかなかどのようなイベントかイメージも出来ず、参加をしていませんでした。
そんな中で偶然、仕事でサイボウズ株式会社さんへお邪魔する機会があり、その時に今回のCYBOZU DAYSのことを教えていただき、参加することにしました。
実際に参加してみた感想を一言で伝えると「インプットが多過ぎて、頭がパニックになった」ということです。
学びや気付き、そして刺激が非常に多く、全国の地方公務員がCYBOZU DAYSに参加すれば、全国的に地方公務員の働き方は変わっていくと心底思いました。
今回は、学ぶことや刺激があまりにも多かった「CYBOZU DAYS 2019 大阪(令和元年12月6日開催)」に参加したレポートをお届けいたします。
なお、CYBOZU DAYSは多くのセッションで構成されており、「これ聞きたい!」というものに事前に自分でエントリーするため、一人ひとりルートが違うものです。
本記事では、私が聞いてきたセッション内容について、共有させていただきます。
CYBOZU DAYSとは?
CYBOZU DAYSとは、サイボウズ株式会社の総合イベントです。
各年にテーマがあり、2019年のテーマは「モンスターの挑戦状」でした。
サイボウズ株式会社 青野社長の著書「会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。」から採用されたテーマだそうです。
「モンスター」とは、思い込みや囚われなどの形のないものを指します。
例えば、「~であるべき。」や「~でないといけない。」などです。
このようなモンスターに囚われてしまった会社、上司、同僚や自分とどのようにして戦っていくのか。
そのヒントを探すためのイベントでした。
グランフロント大阪で行われたイベントですが、まるでRPGの主人公になったような、そんなワクワクが溢れた空間作りでした。
部屋の名前も非常にユニークで、とても楽しかったです。
私は、サイボウ樹の部屋→展示の村エリア→吹雪の部屋→吹雪の部屋→雷鳴の部屋→サイボウ樹の部屋という順番で回りました。
更に、「公式ハッシュタグ「#cybozudays」をつけて投稿してね!」とアナウンスで言われるほど、参加者を含めたオープンな情報発信がしっかりとしていました。
撮影禁止マーク以外のスライド撮影もOKなので、Twitterでたくさん投稿を見かける理由がわかったような気がします。
撮影スポットも準備されており、写真を撮ってSNSへアップしたくなるような仕掛けが満載でした。
基調講演「モンスターへの挑戦状」
CYBOZU DAYS2019 大阪の2日目の最初は、全参加者共通で基調講演から始まりました。
全登壇者は下記の通りです。
- サイボウズ株式会社 代表取締役社長 青野 慶久 氏
- 株式会社PHP研究所 PHP新書副編集長 大岩 央 氏
- お笑いジャーナリスト/株式会社笑下松塾 取締役 たかまつなな 氏
- 株式会社minitts 代表取締役 中村 朱美 氏
青野社長の挨拶
まずは青野社長より、「モンスターは、実態のない思い込み」というお話から始まりました。
「会社というよくわからないモンスターではなく、経営者、上司、同僚などの「人」と話そう。」という内容です。
更に、会社も存在しないものであり、会社は法人であり、法の下に人として取り扱われているだけという話も「確かに」と思うポイントでした。
多くの人が「私の会社は…」と言いますが、結局は「人」です。
「会社」を相手にすると何もできず思考停止になってしまうので、まずは「人」と話そうと考えさせられたオープニングとなりました。
books.rakuten.co.jp青野社長×PHP研究所 大岩さん
青野社長の著書「会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。」を担当した大岩さんとの対談から始まりました。
対談の内容は本当に盛りだくさんでした。
この本を担当するに当たってのお話やPHPの現場のこと、サイボウズの働き方の変化、そして、大岩さんが今まで手がけてきた書籍のお話など、刺激的なお話も多く聞くことができました。
その中でも特に印象に残ったことは、サイボウズの「質問責任」という義務です。
「説明責任」はよく耳にしますが、「質問責任」ってあまり聞きませんよね。
定義としては、「疑問に思っているなら聞くこと。質問をせずに陰で愚痴をすることは、卑怯だ!」という考えのものです。
「とても素敵なことだな!」と上っ面で思いましたが、これは心理的安全性がないと成り立たないものとのことでした。
質問してくれた「一人目の勇者」をしっかり拾ってあげて、その後、議論のプロセスをオープンにして結果を出せば納得感が高まり、「質問していいんだ!」という風土が広がるようです。
結果がどうであれ、心理的安全性を確保するためには、「納得感」が非常に大切だということがよくわかりました。
そして最後には、「下から目線でモンスターと戦うために大切なこと」をお話してくれました。
- 力をつける
- 言葉にする
- 仲間をつくる
会社の役立つ人物にならないと話は聞いてもらえないと思うから説得力を持たせる「力をつけて」、思ったことを「言葉にする」ことで、考え方や社会が変わっていく。
そして、「言葉にして」いくと、共感してくれる人が集まり、仲間をつくることができる。
私は、大岩さんの「言葉が世界を変える」ということが、一番心に刺さりました。
まず一歩を踏み出すためにも、「言葉」は本当に大切なものだと感じています。
使い方次第では良くも悪くも導けてしまうものが「言葉」ですが、「言葉」にしないと何も始まらない、世界が動かないと再認識した時間でした。
青野社長×たかまつななさん
2人目のゲストは、お笑いジャーナリストのたかまつななさんでした。
主に、お笑いを通じて社会問題を発信し、若者と政治の距離を縮めるための活動をされています。
全国の学校で講演などもしているたかまつさんが言うには、「学生たちは、校則すらも自分たちで変えられるものだと思っていないことが問題。そのため、自分たちで発案して変えていく経験がない。だから、選挙に行って変えようという意識が生まれにくい。」というものでした。
「ブラックな校則」を変えるためには、学生自身がしっかりと新しい校則を発案して、生徒会にかけて、自分たちで校則を変えていくことが大切だということです。
その経験が、将来の投票率や政治、社会問題への意識へと繋がるという、とても大切なお話でした。
私も含めてですが、地方公務員の立場として「若者の投票率ってどうやったら上がるの?」って考えたことがあるかと思います。
その根本的に解決すべきこととして、学校で校則を変えれるものだという風土を作ることが大切なのだと気付かされました。
そうすることで、「政治を感覚として落とし込む」ことができます。
また、話題は吉本問題にも広がっていきました。
たかまつさんが言うには、「吉本は、一般のサラリーマンよりサラリーマン。先輩絶対主義。」だそうです。
- 舞台に出る
- 賞レースで勝つ
- テレビに出る
- ひな壇飾る
- レギュラーもつ
- MCになる
このような、ガチガチな出世コースと上下関係の厳しさがあるそうです。
芸人で「やりたいことができている」人って、少ないのかなという印象を持ちました。
キングコングの西野さんのように、自由な活動をされている芸人ももっと増えてほしいものだと感じたお話でした。
青野社長×佰食屋 中村さん
基調講演の最後は、佰食屋の中村さんでした。
偶然にも、この春に放送していた「ガイアの夜明け」を見て知った中村さんが、まさかの登壇で、私は密かにテンションが上がっていました。
また、中村さんは「売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放」という本も出版されています。
佰食屋は、結構いろいろなメディアで取り上げられています。
もしかしたらご存じの方も多いのではないでしょうか?
1日100食限定のランチ営業のみで、売り切ったら営業終了です。
閉店後も、社員は遅くても18時には帰っているという働き方です。
中村さんのお話は、本当に学ぶべきことが多い時間でした。
その中でも「売上が減ると叩かれたり、ダメなことだと言われがちですが、売上が減っても従業員が幸せになれて、会社にも利益が残せるようなスタンスを。」というお話が素敵だと思った人は、同じ会場にはたくさんいたのではないでしょうか?
「単純に営業時間を伸ばせば売上も増えるのに!」と思うところですが、そうしないのが中村さんです。
「売り上げは減らすが働く人の満足度を上げ、生産性が上がり、顧客満足が上がる」という従業員の幸せと顧客の満足を兼ね備えた良い仕組みでした。
確かに、聞いているだけでも「みんなハッピー」になる気がしました。
しかし、原価率は50%だそうで、普通であれば「え、大丈夫?」となるところですが、それでも利益は残せているそうです。
根本としては、拡大路線ではないからこそのものがありました。
例えば、広告宣伝費は一切かけておらず、広告宣伝の全てをお客様に委ねていることです。
SNSや口コミで広げてもらうために、商品開発や質にこだわっており、SNSや口コミに強い女性への徹底したターゲティングの戦略がありました。
とても マーケティングがしっかりとされているな、という印象です。
更に、採用費用もかけておらず、全てハローワークでの採用だそうです。
また、青野さんもお話しをしていましたが、「3時にお店を閉めるのは勿体無い」ということに対して、「お昼にしか空いていないことに価値がある。」と答えたのが中村さんでした。
つまり、「希少価値」に重点を置いているということです。
例えば、夜に他の人へ場所貸しをすると、電気がつきます。
電気がついていると「あ、夜でもやっているんだ」と感覚的になってしまいます。
そのような思い込みを避けて「お昼しかやっていない」という価値を高めるために、徹底された取り組みでした。
「ブランディングの徹底」ということについて、深く考えさせられた時間でした。
他にも盛りだくさんでいろいろなお話がありました。
スタッフの自己決定権のお話や様々な従業員を雇うことで生まれたことなど、中村さんだけで一つの記事が完結できるほどの内容です。
詳細は、様々なニュース記事や書籍でぜひご覧ください。
パナソニック人事がサイボウズと組む理由〜これからの人事に必要なものとは〜
ここからが参加したセッションでのお話となります。
同時間に複数のセッションがあり、参加者はその中の一つに参加することとなります。
最初のセッションでの登壇者は、下記の皆さんです。
・パナソニック株式会社 A Better Workstyle編集局 局長 前川 督之 氏
・パナソニック株式会社 A Better Workstyle編集局 組織開発担当主幹 大西 達也 氏
・サイボウズ株式会社 チームワーク総研 シニアコンサルタント なかむら アサミ 氏
サイボウズ株式会社のお話
まずは、なかむらさんからサイボウズの人事についてのお話がありました。
今では信じられない事実ですが、2005年の離職率が28%、つまり、4人に1人が辞めるというペースの時期があったそうです。
その後、方針の転換があり、理想の再設定やワークスタイル制度改革、評価報酬制度改革、風土改革に取り組んで、今のサイボウズがあるとのことです。
その中で、改善のステップとして、以下の順番があるとお話がありました。
このステップを踏むことで、離職率が下がり、売上も上がっているのではないかとの分析をしていました。
更に、会社を変えるために必要な3つとして、以下のものをあげていました。
- 制度
- ツール
- 風土
これらは、いずれも欠けてはいけないものであり、3つともバランスよく力を入れる必要があるとのお話です。
例えば、制度だけが整っていても、風土が整っていなければ、制度の利用もできないため、3つ全てをうまく変えていかないと、会社は変わっていかないというものです。
また、組織の成功循環モデルのお話もとても勉強になりました。
「結果」からスタートすると、結果を追求するあまりに関係の質や行動の質も悪くなり、最終的には失敗するため、「関係の質」からスタートすることが大切ということです。
- 「関係の質」:互いに尊重し、結果を認め、一緒に考える
- 「思考の質」:気づきがあり、共有され、当事者意識を持つ
- 「行動の質」:自発的・積極的にチャレンジ・行動する
- 「結果の質」:成果が出る
「関係の質」を高めていくことで、このような結果に繋がるというモデルです。
更に、関係の質に「場の質」を合わせて高めることで、より高い効果が出るそうです。
K2プロジェクトのお話
後半は、パナソニックとサイボウズの協働で取り組まれている「K2プロジェクト」のお話でした。
まず、パナソニックとして実現したいことは、以下の2点でした。
- 自分たちのことは自分たちで考える会社
- 自分たちで自分たちを変えていける会社
その中で、いきなり全社として取り組むのではなく、まずは「人事」から行い、その後、一般社員や経営幹部に活動を広げているそうです。
また、普段の研修などの回答は「真面目にやれ!」的なノリの部分が多いそうです。
「100点満点の答えを出さないといけない」となってしまっている「モンスター」がそこには住んでいるというお話です。
確かに、地方公務員でも研修となると同じような感じですよね。
自由な発想が遮られることがあって、決まった答えを探すだけの研修が多いです。
そのため、パナソニックは、「妄想する場」「自分モードで考える」ことを基本としたそうです。
そして2回目のワークショップでは、「壁」についての議論を行ったそうです。
その中では「制度は整っているけど使いにくい。打破するためには?」というお話もあったそうです。
ワークショップという形で可視化することで、担当部署的にはショックもあったそうです。
しかし、みんな想いが一緒だとわかったのは最大の収穫だったとのことです。
そもそも「壁」が、実は「壁じゃなかった!」ということもあります。
私自身も、「あれ?意外といけるじゃん!」という経験をよくしています。
まさに、「自分の思い込み」というモンスターでした。
また、「やらされ感」についても言及していました。
もし全社的に声をかけると「やらされ感」が出てしまうため、まずは、自発的に来たい人を呼びつつ、社内で情報を広げていく地道な声かけをしていることが印象的でした。
特に印象的だったのが「響かない人には時間をかけない」でした。
地方公務員は、何事でも満遍なく時間をかけて声をかけていくものです。
しかし、時間は有限ですし、何よりスピード感を持って動きたいところです。
響かない人に時間をかけてもしょうがないという観点は、地方公務員も同じように必要なものだと感じました。
また、「なんでワークショップをやるのか?」の目的意識の明確化も必要です。
「職場活性化しましょう!」だけではダメで、その先のビジョンをしっかりと見せる必要があるということも、大きな学びでした。
最後に、パナソニックさんから「それぞれの人が、それぞれの立場での意見を持っている」というスタンスが大切というお話をしていただきました。
- 「嫌な幹部は何を大切にしているのか?」を考え、みんな違う考え方や想いを持っているという前提で動くことが大切ということ
- 上の人と下の人が持っている情報が違うのは当たり前ということ
- 情報を隠すのではなく、情報を共有することが大切であること
- 隠し事をすることで、コミュニケーションが複雑になるということ
いずれも、本当に心に刻んでおくべき大切なことであり、私も意識して実践していきたいと思います。
これらのように、大手企業であるパナソニックでも、あの手この手で働き方を変えていくために、模索して活動されています。
いきなり何かを変えていくことは難しいかもしれませんが、私たち地方公務員も、少しずつ出来るところから挑戦してみませんか?
「地域×複業」人口減少時代の地方企業を救う!新しい仕組みとインパクト
次のセッションでは、「複業」をテーマとしたお話を聞きに行きました。
登壇者は、下記の2名です。
サブの「副業」とマルチの「複業」
冒頭に、「複業」が一番わかりやすい説明がありました。
「副業はお金のため。複業は自己実現のため(お金も稼ぐ)。」というものです。
「自己実現」というところが、一つ大きなポイントということですね。
私は今まで、「複業」をふわっとしか理解していませんでしたが、スッと入ってきた一文でした。
また、複業のメリットとして以下のものがあります。
- 自己実現の場
- 複数の収入源
- コミュニティへの所属
- 成長の機会
- 人脈やビジネスの創出
しかし、今回のお話では、実際に複業を実践してみて、他にもメリットがあることに気付いたとのことです。
その内容とは「地方企業の持続可能性を高める」ことです。
- 人口減少で子どもたちがいなくて高齢者が増えてきている
- 10年後は持たないと感じた
- 高齢者が増えて、働いている人が減っている
- 都会の人たちが豊かな生活をするためには、地域で作られたもので成り立っている
このようなことを感じて、地方企業の持続可能性を高めることが大切だと感じたそうです。
実際に総務省の統計数値を見ると、毎年人口減少で一つの県がなくなるくらいの勢いで減り続けています。
もしこのまま人口減少が進むと、地方企業は人材が不足し、経営が成り立たないことは、容易に想像することができます。
更に、事業の継承をすることもできません。
つまり、この状況が続くと、地域を存続すること自体が困難となるという考え方です。
このような状況を知り、「ひとりの地方生活者として、このままでいいのか?」と思ったそうです。
もし、都市部のビジネスパーソンが、地方企業で複業できたらどうなるのかと考えたら、以下の想定が出来たそうです。
- スキルを持った人を必要に応じて採用できる
- 企業を持続する手助けになる
- 人の交流が生まれる
- 地域が持続できる可能性がある
もしこれが実現すると、本当に地方は賑やかになるのではないかと思います。
むしろ、全ての解決策に繋がるのではないかとも考えてしまいます。
「複業」は、現代においてホットワードの一つです。
今後、どのような展開になっていくのかが、非常に楽しみです。
そもそも複業に追い求めているものとは?
複業の報酬として、「安心・貢献・幸福」の3つから成り立っているというお話から、後半が始まりました。
複業の報酬のために必要な資本・資産とは、以下の3つだそうです。
- 金融資産(現金、貯金、不動産など)
- 人的資本(労働、知識、技能など)
- 社会資本(友人、知人、人脈など)
「都市部の人から見た複業の魅力とは何でしょうか?」との問いかけがありました。
それは「地域や地元の役に立てる」と言うことが非常に強く、地方の仕事で人的資本と社会資本を中心に獲得できることが多いというものでした。
都市部とは違った良質なコミュニティも魅力なのでしょうか。
都会で働くことのモヤモヤとして、「出来て当たり前、出来なかったら怒られる。」「ありがとうがない会社が増えている。」など、細かいフラストレーションが溜まっていることも、複業の魅力としての要因としてあるそうです。
私自身が地方で働いているためあまりピンとこなかったのですが、都市部で働くことによるデメリットも多くあるのだという印象を受けました。
最後のお話として、「複業」は大きな転換期を迎えているというお話がありました。
政府の資料にも「関係人口の取り組み」として言葉が入るほど、推奨され始めています。
印象に残った言葉は、「観光は一過性だけど、移住はハードルが高い。複業であれば、緩やかに地域に入ることができて、複業をきっかけに移住になるかも。」というものです。
確かに、観光は一時的なものであり、移住となるといろいろな壁があると思います。
皆さんも自分ごとに考えれば、容易に想像することはできますよね?
関係人口という切り口で、「複業」は今後更に加速するでしょう。
テレワークが当たり前になり、生活を変えなくても、移住をしなくても取り組むことができる「複業」の動向を、今後も追い続けたいと思います。
今、自治体に求められる「働き方改革」「DX」〜担当職員が語る先進事例〜
最後のセッションでは、「自治体の働き方」をテーマとしたお話を聞きに行きました。
登壇者は、下記の3名です。
・神戸市役所 企画調整局情報化戦略部ICT業務改革専門官 砂川 洋輝 氏
・市川市役所 副主幹 佐藤 靖彦 氏
・サイボウズ株式会社 蒲原 大輔 氏
前半は、神戸市と市川市の事例発表がありました。
いずれの内容も「無駄なことを洗い出し、kintoneを活用して業務の効率化」という点が共通でした。
「業務の効率化」で予算を取るのは非常に難しいので、本当に首長からのトップダウンの力と意志が必要です。
このように実行に移されている2つの自治体の今後が、今からとても楽しみです。
下記の2記事に綺麗にまとまっているので、こちらをご参照ください。
パネルディスカッション
ここからは、神戸市の砂川さんと市川市の佐藤さん、サイボウズの蒲原さんのパネルディスカッションです。
少しメモのような感じとなりますが、ご了承ください。
(質問)kintone導入を検討したい。何から始めたら良いか?
kintoneは、何か課題があって解決するための手段。そのため、まずは課題を見つける必要がある。その解決の近道がkintoneというだけ。また、30日の無料期間がある。まずは触ってみて、ハマればkintoneを使えば良いもので、少しずつ始めれば良い。
(質問)kintone導入の投資対効果をどのように考えているか?
現状の業務のやり方とkintoneでの業務のやり方を比較すると、プラスアルファが出てくる。その他、効果はいろいろな観点から測れるため、財政部局へ響きそうな部分から攻める。ICTに前向きになれることが重要なポイントとなる。また、測れるものではないけど、住民満足が効果の部分だとも思っている。特に自治体は、何かを導入するとなると「0か100」で考えがちだが、kintoneは5ユーザーから使える。
(質問)全庁的に展開する上での課題やポイントは?
市役所は新しいことを始めるのに抵抗があり、苦手なところ。便利になることを、目の前で見せることが大切である。草の根的な運動になるけど、身の回りから少しずつ広げていくこともポイントとなる。また、全庁的にkintoneを展開する必要はない。業務改善のマインドセットを全庁に展開することが大切である。極力IT用語を使わずに話をするしかない。
(市川市への質問)原課が振り回されないためにしてることとは?
最初は、受け止めることすら難しいもの。トップダウンは大事だけど、トップダウンだけではダメ。それを受け止めるボトムも必要。職場の風土を変えていくというつもりで、コミュニケーションを取る必要があると思っている。
(神戸市への質問)先進的な取り組みを支えている組織風土とは?
現市長になってから先進的になった。トップが何回も言ううちに、少し変わってきて、どんどん変わってきた。うまくいかなければ違うことをやればいいじゃないという文化が醸成されてきた。認め合える風土になってきた。
先進事例を聞いていて私自身感じたことは、「kintoneは便利だけど、あくまで手段!」ということでした。
同時に、「まだまだ自治体も良くなるんじゃないか!」と可能性も感じた時間でもありました。
システム担当部局へ同事例を紹介し、一度話し合ってみたいなと思います。
特別講演
最後のセッションは、サイボウズのお偉いさん達によるセッションでした。
登壇者は以下の3名です。
・サイボウズ株式会社 代表取締役社長 青野 慶久 氏
・サイボウズ株式会社 取締役副社長 兼 サイボウズUS社長 山田 理 氏
・サイボウズ株式会社 コーポレートブランディング部長 大槻 幸夫 氏
タイトルは「モンスターが消えたその先の未来について」でした。
「モンスターへの挑戦状」というテーマを通じて、サイボウズとしても様々なモンスターの発見があり、「会社にはこんなにいっぱいモンスターはいたんだという気付き」に繋がったとのことです。
私も改めて「モンスター」を考えると、周りはモンスターだらけだと気がつきました。
そしてきっと「気付き」を得たのは、私だけではないと思います。
この「気付き」を得ることが出来ただけでも、参加者にとっては大きな価値になっているのではないでしょうか。
サイボウズの1年
「ここまでオープンにするのか!?」
「副社長ってカテゴリーは何だ!?」
おそらくこのように思った人は多かったでしょう。
実際に、一部の内容で笑いも起きていました。
その中でも、私が面白いなと思ったエピソードは「新人配属」です。
- 新人配属は、自分で選ぶようになった(辞令なくした)。
- 配属先の選択肢が多過ぎて、希望先が毎日のように変わっていく。
- 配属希望先が、常に全社でオープンになっている。
- 人気がある部署とない部署が出てくる。
そもそも新人が「どのような部署でどのようなことをしているのかを、全て知っているのかな?」というところから始まりますが、この事例はいろんな意味で面白いなと思いました。
各部署がそれぞれしっかりと情報発信をしないと、いつまでも人気のない部署になってしまうので、「魅せ方の工夫」が生まれていきそうな気がします。
他にも、社長や副社長が指示していないのに開発本部の部長職が廃止になっていた話やサイボウズ式という形で本出していく話など、本当にサイボウズの普段聞けないような話が盛り沢山な内容で、1年の振り返りをしていただきました。
最初の青野社長の挨拶でもありましたが、モンスターは「思い込み」という定義です。
また「モンスター」は、消しても消しても出てくるものだというお話もありました。
例えば、「所属部が必要」というモンスターを否定して、否定が成功すると、今度はそれがモンスターになるというものです。
モンスターの倒し方としては、「事実」を見ることが大切です。
「事実」を見ることで、モンスターがリアルになって、小さくなっていきます。
特に、「人(誰)」というところを消していくことがポイントとの解説もありました。
「雨が降ったら傘をさす」(松下幸之助)
青野社長の好きな松下幸之助さんの言葉です。
要は、「当たり前のことを当たり前に行うこと」だそうです。
景気が悪くなったら、景気が悪くなったなりのことをすれば良いのですが、それが出来ない人が多いという現実的なお話でした。
周りが変わったら、自分も変わらないといけないというのは、当然のことですよね。
しかし、それが出来ていないという問題提起なのかなと思いました。
まとめ
今回は、「CYBOZU DAYS 2019 大阪(令和元年12月6日開催)」に参加したレポートをお届けいたしました。
まず、全然まとまっていない拙い長文を最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
1万字を超えている文章を書いたのですが、これでも足りないくらい非常にインプットが多い1日でした。
それだけCYBOZU DAYSには、「学び」と「気付き」が多いのだと感じてもらえれば良いかと思います。
地方公務員は、あまりこのような民間企業主催のイベントに参加することがありません。
私は、他業種主催のイベントこそたくさん参加して、働く上で触れることがない「刺激」などを得ることをおすすめしています。
来年のCYBOZU DAYSには、皆さん一緒に参加しませんか?
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