地方公務員オンラインサロンでいつもお世話になっている株式会社ホルグの加藤さんが、『なぜ、彼らは「お役所仕事」を変えられたのか?』を出版しました。
各分野の最前線で活躍する10名の実践術を惜しみなく紹介されており、最後には、加藤さんから全国の公務員への熱いメッセージが書かれた、刺激溢れた1冊です。
また、現役の公務員には、強い共感ができるフレーズがあちこちに散りばめられているため、読み進めると、結構ドキッとすることがあります。
- 今何か悔しい思いをしている人
- このままでいいのかと悩んでいる人
- 出る杭は打たれることにもどかしさを感じている人
- 何か動きたいけど動きにくい人 など
このような人たちには、是非読んで欲しいです。
何か心の中で引っかかっていたものに対して、勇気を与えてくれるものだと思います。
私も、この1冊にはとても勇気をいただいています。
では、本書ではどのようなことが書かれているのでしょうか?
今回は、『なぜ、彼らは「お役所仕事」を変えられたのか?』の感想について、ご紹介します。
本を読んだ感想
『なぜ、彼らは「お役所仕事」を変えられたのか?』(著者:加藤 年紀 氏)
2019年8月8日発売
加藤年紀(かとう としき)
株式会社ホルグ代表取締役社長。2007年4月、株式会社ネクスト(現・株式会社LIFULL)入社。2012年5月に同社インドネシア子会社「PT.LIFULL MEDIA INDONESIA」の最高執行責任者(COO)/取締役として日本から一人で出向。子会社の立ち上げを行い、以降4年半の間ジャカルタに駐在。同社在籍中の2016年7月に、地方自治体を応援するウェブメディア『Heroes of Local Government(holg.jp)』を個人としてリリース。2016年9月に同社退社後、同年11月に株式会社ホルグを設立。各地で奮闘する公務員に取材、インタビュー記事を掲載するほか、2017年からは、自治体職員の他薦をもとに、地味・派手を問わず「本当にすごい!」と思われる地方自治体職員を表彰する「地方公務員アワード」を主催。また、2019年1月からは「地方公務員オンラインサロン」を運営する。現在、forbesjapan.comオフィシャル・コラムニストとして「地方公務員イノベーター列伝」を連載。その他「ダイヤモンドオンライン」において「DOL特別レポート」を寄稿。その他、三芳町魅力あるまちづくり政策アドバイザー、ニュースイッチ(by 日刊工業新聞)ファシリテーターなどを務める。
本書に書いていること
まずは、目次を確認してみましょう。
- 第1章:公務員だから活躍できる
- 第2章:どんな仕事も改善できる
- 第3章:冷静と情熱、緻密さと大胆さ
- 第4章:官と民の視点を操る
- 第5章:公務員・行政の可能性を信じる
- 第6章:常識・前例・慣習を打破して、公務員像をアップデートせよ!
第1章から第5章は10人の公務員の実践術が書かれており、第6章で加藤さんの公務員への考えや想いが書かれています。
読み終えた全体的な印象としては、「意外と身近に感じる1冊」でした。
購入当初は、すごい公務員10人の実践術だから、知識的な参考程度のものかなと思っていました。
しかし、実際に読むと、それぞれのエピソードや苦労話が書かれています。
その内容とは、私たちの日常と遠くかけ離れたものではありません。
つまり、「動く」か「動かない」の差だけなのかなとも感じた1冊です。
1歩踏み出すことの大切さと苦労、そして乗り越えるための工夫を学びました。
やりたいことに対して「信念をどこまで持つことができるか?」がポイントだと感じました。
10人の公務員の物語
「出る杭は打たれる」と言われている公務員業界において、各分野で成果を上げてきた人たちがいます。
本書では、10人の公務員の物語が非常にわかりやすく書かれています。
まずは、その内容と公務員をご覧ください。
♯01 公務員という後ろ盾があるから、挑戦できる
「山田崇(塩尻市)/ シティプロモーション」♯02 使命感を持って、好きなことをやる
「井上純子(北九州市)/ 観光」♯03 目の前の仕事に誇りを、目の前の仕事に全力を
「岡元譲史(寝屋川市)/ 徴収」♯04 学びと実践の先に、突破口は必ずある
「鈴木浩之(神奈川県)/ 児童虐待」♯05 ボトムアップで組織を動かす
「山本享兵(和光市)/ 公会計」♯06 不都合な真実を伝える覚悟を持つ
「菊池明敏(岩手中部水道企業団)/ 水道」♯07 市民をまちの当事者に変える
「大垣弥生(生駒市)/ 広報・市民協働」♯08 予算ゼロだからこそ、始められることがある
「黒瀬啓介(平戸市)/ ふるさと納税」♯09 小さな成功体験が未来を拓く第一歩
「酒井直人(中野区)/ 業務改善」♯10 公務員の志が、世の中を変える
「脇雅昭(総務省・神奈川県)/ モチベーション」
この通り、様々な分野で活躍している人が取り上げられています。
そのため、全てを読む必要もなく、自分が気になる分野だけで読み進めていくことも良いでしょう。
ただし、私は全てを読んで、いろいろな事例を知っておくことをお勧めします。
実際に、私も会ったことやメールでやりとりしている人も多くいます。
本書の内容は、本当にその人の体験談が、そのまま書かれているなとも思いました。
著者からの熱いメッセージを受け取ろう!
第6章では、著者である加藤さんからの公務員に対する熱い想いが書かれています。
サブタイトルでもある通り「常識・前例・慣習を打破する仕事術」に対する考えなども述べられています。
この「常識・前例・慣習を打破する」ことで、公務員はもっと良くなり、そして、世の中も変わっていくというものです。
また、ここまで全力で公務員を応援してくれている人も、なかなかいないことがよく伝わります。
それは、私たち公務員にとって非常に嬉しいことであり、誇りにすべきことです。
私に強く響いた3つの言葉
本書の構成は、大きく3つです。
- 公務員10人のルポ記事
- 著者からの熱いメッセージ
- 著名な首長によるコラム
本書全体を通して響くことが多くあったので、本来はとても選べるものではないです。
今回は、私に強く響いた内容を、本書の中から3つ紹介させていただきます。
公務員が変われば、日本は変わるのだ!
この言葉は、千葉市の熊谷市長がコラムで書かれていたことです。
コラムのタイトルは「公務員にしか救えない人がいる」です。
たった1ページのコラムの中には、公務員に対する熱い想いを感じました。
公務員の仕事は、本当に大変です。
多様化するニーズに対応するために、日々汗を流し、悩み苦しんでいる人もいます。
業務量が増えていき、対応に追われている人もいます。
しかし、熊谷市長は、その現実を理解しつつ、私たちにポジティブな言葉を与えてくれています。
しかし、公務員にしかできない仕事がある。公務員にしか救えない人がいる。まちをつくり、ひとを育て、未来をつくる。一度きりの人生を賭けるに相応しい仕事だと言っても決して過言ではない。公務員が変われば、日本は変わるのだ!
この言葉を受けて、今多くのまちの人に関われている「地方公務員」という仕事を誇りに思うとともに、仕事に追われることをネガティブに捉えるのではなく、チャンスと捉えることができるようになってきたと思います。
諫早市の村川さんの本『公務員女子のおしごと帳』や山形市の後藤さんの本『自治体職員をどう生きるか』でも出てきた言葉で、こんな言葉があります。
頼まれごとは、試されごと!
この考えをベースに、自分の仕事を誇りに思うことから始めてみてはいかがでしょうか?
そして、私たち公務員が変わっていけば、日本も変わっていくのかなと思います。
一歩を踏み出さなければ、何も変わらない。
この言葉は、第6章で加藤さんが書かれていることです。
日々の悩みを抱える中でも、私たち地方公務員には様々な「タイミング」があります。
そのタイミングで、一歩を踏み出すか踏み出さないかで、結果は大きく変わります。
踏み出さなければ、何も事態は変わりません。
踏み出すことで、始めて事態が変わる可能性を秘めています。
そのため、やりたいことを実現するためには、一歩を
加藤さんは、役所の中でやりたいことを実現する方法を単純化すると、2つしかないと言っています。
- 行動を起こす
- 決裁を通す
確かに、この2つしか方法がないかなと私も思います。
口で言うことは簡単です。
しかし、物事に変化をつけるためには、「行動」は必要不可欠です。
リスクを恐れる気持ちもわかりますが、今がもどかしい気持ちやストレスを抱えて過ごしているのであれば、より積極的に行動に移してみてはいかがでしょうか。
公務員には、世の中を変える力がある
この言葉を一つの行動思想として、皆さんも持ってみませんか?
「私たちには、この世の中を変える力があるんだ!」と思いながら日々を過ごすだけでも、世の中は良い方に流れていく気がします。
公務員の強い意志と行動から全てが動き出すのです。
私が大好きな言葉なのですが、脇さんの言葉で「公務員の志や能力が1%上がれば、世の中無茶苦茶良くなるんじゃないか」と言う言葉があります。
まさにこの言葉の通りで、たった1%の実現が、世の中を変えていくのだと思います。
身の回りの些細なことでも構いません。
過去も今も他人も自分も変えていけるような公務員を、一緒に目指しましょう。
大阪での出版記念セミナーに参加!
2019年10月2日に、大阪で本書の出版記念セミナーが行われたので、参加しました。
セミナーには、本書の著者である加藤さんと本書で紹介されている寝屋川市の岡元さんが登壇者でした。
加藤さんからは、本書の制作裏話や苦労話などの出版までのエピソードや本書に込めた想いなどを聞かせていただきました。
実際に、加藤さんにお会いするまでは「HOLGは便利だけど、なんでここまで公務員を応援してくれているんだろう。」「裏ではお金?怪しいな。」と色々と考えたりもしていました。
しかし、そこには本当に公務員を応援したい気持ちともっと世の中を良くできるのは公務員だという熱い想いを感じることができ、「ああ、この人は腹黒さも備えつつ、素直に素敵な人だな。」と感じました。
あらかじめ地方公務員オンラインサロンで会っていたこともあり、あまり初めましてと言う感じはありませんでした。
しかし、オンライン上では想像できなかったのか、加藤さんからの第一声は「納さんって思った以上に大きいんですね。」でした。
そして私は、加藤さんはオンライン上の幻の人物という印象だったので、「実在する人だったんだ」と心の中で思っていました。
セミナー終了後には、しっかりとサインも書いていただきました。
サインを書いてもらったものを保管用、そして、別で読み返す用の2冊が我が家にあります。
ちなみに、今更ですが、本書は『なぜ彼』と呼ぶらしいです。
まとめ
今回は、『なぜ、彼らは「お役所仕事」を変えられたのか?』の感想について、ご紹介しました。
様々な公務員本を読んできましたが、このように様々な事例が載った本というものは、あまりありませんでした。
それだけに、今後の公務員人生においてバイブルとなる1冊となりました。
また、少し行き詰まった時には6章を読んで、加藤さんからのメッセージで励ましていただいています。
もしかしたら、思い悩んでいる人や何かもどかしさがある人などにとっては、良い道しるべとなる1冊だと思います。
また、実際に加藤さんと話したいと思った人は、地方公務員オンラインサロンに参加すれば、すぐに話せます。
更に、本書に登場していても不思議ではないような、全国を舞台に活躍されている地方公務員と交流ができるので、自身の公務員人生が変わるきっかけにもなるでしょう。
まずは、まだ本書を読んでいない公務員の人は、ぜひ読んでみてください。
そして、地方公務員オンラインサロンで会いましょう。
『なぜ、彼らは「お役所仕事」を変えられたのか?』(著者:加藤 年紀 氏)
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