地方公務員ブロガー 納 翔一郎~富田林INFORMATION×WORK×LIFE~

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ふるさと納税における住民税の計算方法とは?

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ふるさと納税をすると節税に繋がる!」
ふるさと納税はお得!」

このことを知っている人は多いですが、節税対象となる住民税の計算式はご存知ですか?
実は、計算式が非常にややこしく、地方公務員でも知っている人は少ないです。
実際に、確定申告や住民税決定通知書などで減額の数字は見たことがあっても、どのように計算されているか理解できないと思います。

では、ふるさと納税における住民税は、どのような計算式で計算されるのでしょうか?
今回は、ふるさと納税における住民税の計算方法について、ご紹介します。

住民税のことを知る!

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ふるさと納税における住民税の計算方法を知るためには、「住民税がどういうものか」を知っておく必要があります。
今回は簡単に紹介しますが、住民税は生涯役に立つ知識です。
概要を知っておくだけでも損はしないので、是非ご覧ください。

naya0708.hatenablog.com

住民税の仕組みとは?

まずは、住民税の仕組みを簡単にご紹介します。

住民税とは、「地方普通税」という種類に該当します。
「市町村民税」と「都道府県民税」を合わせたものを住民税と呼んでいます。

住民税は、前年に一定以上の所得があり、賦課期日(1月1日)に住民票を登録されている市区町村で課税されます。
例えば、令和2年度の住民税であれば、令和1年1月1日~12月31日の所得で税額が決定します。
なお、「賦課」とは、税金などを割り当てて負担させることです。
令和2年度の住民税の支払いは令和2年6月~令和3年5月で1年度です。

また住民税は、国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料など、住民税の情報を基に様々な金額が決定されていることも特徴です。

住民税の計算方法とは?

住民税の計算方法は、基本的には全国どこでも同じです。
市民からの問い合わせで「あの市役所は住民税が安い!」ということを聞くこともありますが、基本的にはあり得ません。
ただし一部自治体では特例的な条例整備をしていることもあるので、一概に同じとは言えません。

住民税には、「均等割」と「所得割」という2種類の税金があります。

  1. 均等割
    所得や扶養人数等を基に定められた基準をこえていれば、一律5,300円かかる税金。内訳で市町村民税3,500円、都道府県民税1,800円。(総務省令(生活保護基準)で定める級地区分によって課税基準が異なる。)
  2. 所得割
    所得や扶養人数等を基に定められた基準をこえており、下記の計算方法に応じて決定する税金。【税率】市町村民税:6% 都道府県民税:4%

では、具体的な計算方法はどのようなものでしょうか?
「公式」とまではいきませんが、基本的には下記の計算式を用いります。

所得-控除=課税標準額×税率=算出税額-税額控除=所得割額+均等割額=住民税額

  • 所得:収入金額-必要経費等控除額
  • 控除:社会保険料、生命保険料、配偶者控除、扶養控除など
  • 税率:上記所得割額(市町村民税:6% 都道府県民税:4%)
  • 税額控除:寄附金税額控除、住宅借入金等特別控除など

ふるさと納税に係る「寄附金税額控除」の計算方法とは?

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次に、住民税の計算における「税額控除」のひとつである「寄附金税額控除」について、ご紹介します。
先に申し上げておくと、計算方法はややこしいです。
また「ふるさと納税」は、基本的には「寄附金」という扱いです。
そのため、以下記事内では「寄附金」としてお話を進めていきます。

naya0708.hatenablog.com

寄附金税額控除とは?

寄附金税額控除とは、納税者が国や地方公共団体公益法人などに対し「寄附金」を支出した場合に、控除を受けることができるものです。
住民税における適用対象の寄附金の種類は、下記の通りです。

  1. 都道府県・市区町村に対する寄附金(ふるさと寄附金)
    ※震災などの災害関連の義援金ふるさと納税に該当する。
  2. 住所地の都道府県共同募金会・日本赤十字社支部に対する寄附金
  3. 市区町村が条例で指定する寄附金
    ※富田林市は条例により、市内にある社会福祉法人・学校法人等が対象となる。
  4. 都道府県が条例で指定する寄附金

上記1~4は、それぞれ計算方法が異なります。
本記事では、ふるさと納税に関する「1都道府県・市区町村に対する寄附金」のみをご紹介します。

「ふるさと寄附金」係る計算方法とは?

「ふるさと寄附金」に係る住民税の寄附金税額控除は、「寄附金税額基本控除額」と「寄附金税額特例控除額」の合計金額です。
いきなり聞きなれない単語が飛び出しますが、専門用語なので慣れるしかありません。
では、それぞれの計算方法を確認していきましょう。

寄附金税額基本控除額=(ふるさと寄附金額-2,000円)×10%

「寄附金税額基本控除額」は、比較的わかりやすい計算式です。
簡単に言えば、ふるさと寄附金額から2,000円を引いて10%をかけるだけです。

なお、ふるさと寄附金額は、総所得金額等の30%が上限です。
更に、10%のうち、6%が市町村分・4%が都道府県分となります。

寄附金税額控除特例控除額=(ふるさと寄附金額-2,000円)×(90-所得税の税率)%

「寄附金税額控除特例控除額」が、ややこしい計算式となっています。
理由は、「所得税の税率」です。
寄附金税額控除額を計算するためには、住民税の計算だけではなく「所得税の計算」も理解しておく必要があるのです。

そのため、基本的には税務担当部署にて、試算や計算をしてもらうことをお勧めします。
なお、寄附金税額特例控除額は、住民税所得割の2割が上限となっています。
更に、寄附金税額特例控除額のうち、3/5は市町村分・2/5は都道府県分となります。

ふるさと納税に係る「ワンストップ特例制度」を活用時の計算方法とは?

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更にややこしいことに、ふるさと納税には「ワンストップ特例制度」が存在します。
この制度を適用した際には、先ほど紹介した住民税の計算方法と異なります。 

ワンストップ特例制度とは?

ワンストップ特例制度画像

(画像引用:ふるさと納税ポータルサイト

ワンストップ特例制度とは、確定申告を行わなくてもふるさと納税の寄附金控除を受けられる仕組みです。
特例の申請には、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内で、ふるさと納税を行う際に各ふるさと納税先の自治体に特例の適用に関する申請書を提出する必要があります。

ワンストップ特例制度適用時の計算方法とは?

ワンストップ特例制度適用時の住民税の寄附金税額控除は、「寄附金税額基本控除額」と「寄附金税額特例控除額」と「寄附金税額申告特例控除額」の合計です。
ワンストップ特例制度の適用の有無で異なる部分は、「寄附金税額申告特例控除額」です。 

寄附金税額基本控除額=(寄附金-2,000円)×10%
寄附金税額控除特例控除額=(寄附金-2,000円)×(90-所得税の税率)%
寄附金税額申告特例控除額=寄附金税額控除特例控除額×所得区分に応じた割合

※所得区分に応じた割合

  • 195万円以下の金額:5/85
  • 195万円を超え330万円以下の金額:10/80
  • 330万円を超え695万円以下の金額:20/70
  • 695万円を超え900万円以下の金額:23/67
  • 900万円を超える金額:33/57

ワンストップ特例制度を適用したらどのようになるのか?

では、ワンストップ特例制度を適用するとしないでは、どのように変わるでしょうか。
主な違いは、下記の通りです。

  • 納税義務者は、確定申告をする必要がなくなる。
  • 計算方法に、「寄附金税額申告特例控除額」が追加される。
  • 確定申告をしないため、所得税による控除がなくなる。

納税義務者は、ふるさと納税以外に特に確定申告するものがない場合、ワンストップ特例制度を活用することで確定申告を省略することが出来ます。
確定申告と言えば、「非常に手間なもの」という印象を持っている人が多いと思います。
しかし、会社からの給料の「源泉徴収票」とふるさと納税の「寄附金」のみであれば、ワンストップ特例制度を活用することで確定申告をする必要がなくなるので、おススメです。 

(参考)計算例題

確定申告画像

◆例題-1:富田林市在住の納税者Aの寄附金税額控除額を求めよ。

  • 納税者A:給与収入7,000,000円
  • 配偶者扶養
  • 所得税の税率20%
  • 住民税所得割371,500円
  • 大阪狭山市への寄附金額30,000円

◆回答-1

基本控除額=(30,000-2,000)×10%=2,800円
特例控除額=(30,000-2,000)×(90-20)%=19,600円
※住民税所得割の2割は74,300円なので限度額の範囲内。

よって、基本控除額・・・市:1,680 府:1,120

特例控除額・・・市:11,760 府:7,840
税額控除額・・・市:13,440 府:8,960

総額:22,400円・・・A

◆参考

所得税における寄附金控除額(所得税は、税額控除ではなく、所得控除なので注意)
(30,000-2,000)×20%=5,600円・・・B

世間一般的に言われている「寄附額から2,000円引いた金額が税で軽減される」というのは、本問題であれば、30,000円の寄附に対し、住民税で22,400円(A)、所得税で5,600円(B)、合計28,000円減税されていることから、言われているものです。

ただし、寄附金控除額には上限等もあるので、一概に上記にあてはまるものではないことに注意が必要です。

◆例題-2:富田林市在住の納税者Aの寄附金税額控除額を求めよ。

  • 納税者A:給与収入7,000,000円
  • 配偶者扶養
  • 所得税の税率20%
  • 住民税所得割371,500円
  • 大阪狭山市への寄附金額30,000円
  • 納税者Aは大阪狭山市に対して、ワンストップ特例申請書を提出している。

◆回答-2

基本控除額=(30,000-2,000)×10%=2,800円
特例控除額=(30,000-2,000)×(90-20)%=19,600円
※住民税所得割の2割は74,300円なので限度額の範囲内。
申告特例控除額=19,600円×20/70=5,600円

よって、基本控除額・・・市:1,680 府:1,120

特例控除額・・・市:11,760 府:7,840
申告特例控除額・・・市:3,360  府:2,240
税額控除額   ・・・市:16,800 府:11,200

総額:28,000円
(参考:所得税は申告しないため、控除0円。)

住民が在住市町村外へ寄附をする意味とは?

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ではここで、住民が在住市町村以外へ寄附をする意味を考えてみます。

上記の例題-1を見ると、富田林市在住の納税義務者1人が大阪狭山市へ30,000円を寄附することにより、寄附金控除を28,000円受けることとなります。
その内訳として、富田林市が13,440円、大阪府が8,960円、国(所得税)が5,600円の減税となります。 

上記のように、富田林市民が他市町村へふるさと納税をすることにより、富田林市が大きく減収となることがわかります。

また同様に例題-2を見ると、富田林市在住の納税義務者1人が大阪狭山市へ30,000円を寄附することにより、寄附金控除を28,000円受けることとなります。
その内訳として、富田林市が16,800円、大阪府が11,200円、国(所得税)が0円の減税となります。

上記のように、ワンストップ特例制度を適用されると、更に富田林市にとっては、減収となることがわかります。

また、上記の比較でわかるように、ワンストップ特例制度を適用すれば「国(所得税)」により控除されるはずであった部分がなくなります。
住民税において、追加で控除されていることがわかります。

表面上は、納税義務者の手続きの簡略化と言われていますが、国税の負担を減らすものでもあると私は感じてしまいます。

また、一方的に自治体が損をする制度のようにも見えますが、実は「地方交付税」での措置があります。
引用文ですが、詳細は下記の通りです。 

寄附受領団体においては、基準財政収入額に、当該寄附金は算入されない。→寄附金を受けた分、交付税が減少することはなく、寄附金額全額が収入増となる。

住所地の地方団体においては、基準財政収入額が、住民税の減少分の75%分減少する。交付団体については、住民税の減少分のうち75%は、交付税が増加することにより、補われる。残りの25%分は、当該団体の収入減となる。

まとめ

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今回は、ふるさと納税における住民税の計算方法について、ご紹介しました。

具体的な計算例を交えて、長文で書かせてもらいました。
おそらく大半の方は、わけのわからないまま読み終えたと思います。
実際に、実務担当者でなければ、あまりよくわからないでしょう。

参考になる人は少ないかもしれませんが、本記事が誰かの役に立つことを願っています。

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