みなさんは、「市区町村」の違いを説明できますか?
実は、地方公務員であっても、この違いを知らない人は多いです。
「なぜ自分の街が「市」なのか?」
「なぜ自分の街が「町」なのか?」
この疑問に対する答えを、本記事を通じて、みなさんにきちんと知ってもらえたら嬉しいです。
また、公務員志望の学生にとっても、知っておいて損はない知識です。
「市区町村」の違いを知ることで、それぞれの役割の違いも見えてくるでしょう。
就職を目指している自治体が、どのような役割を持っているのかを確認してみましょう。
では、それぞれどのような違いがあるのでしょうか?
今回は、意外と知られていない「市区町村」の違いについて、ご紹介します。
一言で言えば「人口規模」の違い!
「市区町村」の違いは、一言で簡単に言うと、「人口規模」の違いです。
様々な細かい要件は後ほど解説しますが、もしも「市区町村は何が違うの?」と聞かれたら、以下を参考に答えてみてください。
しかし、これがそのまま当てはまるわけではありません。
「人口が80万人を超えている政令指定都市」や「人口5万人未満の市」も存在します。
その理由は、人口規模以外の要件や市となった当時の人口など様々です。
ほとんどは人口規模で説明できますが、違うパターンがあることも認識しておきましょう。
「市区町村」の違いとは?
では、ここで、人口要件以外の「市区町村」の違いを確認してみましょう。
「市」とは?
市になる要件は、以下のようなものがあります。
では、「都市的施設」とはどのようなものでしょうか?
一例としては、以下のようなものを指します。
- 警察署
- 郵便局
- 駅
- 病院
- 高校や大学
- 公民館や図書館 など
これらの要件を満たせば、一般的に「市」となることが出来ます。
現在、人口4万人程でも「市」の自治体がありますが、それは昔人口が5万人の要件を満たして「市」になったため、そのままであるケースです。
「人口が減ったから「町」になる!」ということは、ありません。
「政令指定都市」とは?
政令指定都市とは、簡単に言えば、都道府県から一定の権限を渡された「市」のことです。
現在、政令指定都市は全国に20市あります。
例えば、大阪市や名古屋市が該当します。
「政令指定都市」になる要件は、以下のようなものがあります。
- 人口が50万人以上!
- 一定以上の中心的都市的施設がある!
- 大都市相応の行財政能力がある!
そのため、都道府県の中でも特に影響力の多い大都市が、政令指定都市として選ばれます。
なお、政令指定都市の一覧は、総務省のウェブサイトで公開されています。
「中核市」とは?
中核市とは、政令指定都市ほどではありませんが、都道府県から一定の権限を譲渡された「市」のことです。
一昔前までは「特例市」と言われていた市が、そのまま「中核市」となったケースがほとんどです。
「中核市」になる要件は、以下のようなものがあります。
- 人口が20万人以上!
- 一定以上の中心的都市施設がある!
- 一定以上の行政処理能力がある!
現在3つの「市」を紹介しましたが、イメージとしては、「政令指定都市>中核市>市」という規模感となります。
「市」だけでも、3つに細分化されることを理解しておきましょう。
「区」とは?
区とは、簡単に言えば、政令指定都市が設置できる行政区画のことです。
ただし、区はただの「行政区画」であり、一つの自治体ではないことを理解しておきましょう。
例えば、大阪府にある天王寺区では、「大阪府大阪市天王寺区」という形になります。
「区」になる要件は、以下のようなものがあります。
- 人口が80万人以上!
- 人口が上昇傾向にある!
しかし、ここで疑問になるのが東京の23区です。
先程の例とは違い、東京都の場合は「東京都渋谷区」という形になります。
扱いが違う理由は、元々、東京23区は「東京市」という政令指定都市でした。
東京市は1943年に消滅したのですが、設置された区だけがそのまま形として残りました。
そして、東京都の区は「行政区画」ではなく、基本的に「市」と同じような扱いを受ける自治体となります。
地方自治法においても、「都の区は、これを特別区という。」とあるように、一般的には「東京特別区」と呼ばれています。
そのため、今までの歴史も踏まえて少し特殊なケース、ということを認識しておきましょう。
「町」とは?
町は、市よりも小さくて村よりも大きいという覚え方で大丈夫です。
町になる要件は、以下のようなものがあります。
- 人口が8千人以上!
- 中心市街地に全戸数の6割以上がある!
- 商工業従事者が5割以上いる!
市になるほどではありませんが、市と同様の中心市街地が必要であることがわかります。
ちなみに、全国で「町」は約750もあります。
「村」とは?
村は、町となる要件を満たしていない自治体のことです。
「村と村」や「村と町」が合併して、町や市になる場合もあります。
また、町より大きい村も稀にありますが、市の解説でもお話した通り、現在人口5千人程の「町」でも、昔8千人の要件を満たして「町」になったため、そのままであるケースです。
「人口が減ったから「村」になる!」ということは、ありません。
(補足)「郡」とは?
最後に「郡」について、補足でご紹介します。
郡は、簡単に言えば、町や村よりも大きい区分のことを指します。
一般的に、市では使うことがありません。
例えば、大阪府にある千早赤阪村では、「大阪府南河内郡千早赤阪村」という形になります。
つまり、町や村に住んでいる方の住所を書く時には、「〇〇郡〇〇町」又は「〇〇郡〇〇村」と書く必要があります。
まとめ
今回は、意外と知られていない「市区町村」の違いについて、ご紹介しました。
あまり知られていないのですが、「市区町村」には様々な要件があります。
細かいところまで理解しておく必要はありませんが、「自分が住んでいる街が、なぜ「市」なのか?」と知っておいても良いかもしれませんね。
そして、「市区町村」のそれぞれの違いを知ることで、街の見え方も変わるでしょう。
特に、公務員志望の学生にとっては、自分が目指す自治体の規模感を知ることで、また違う視点で物事を捉えることができるようになります。
更に、本記事のお話は、イベントなどのアイスブレイクでも意外と使えます。
何かの話のネタにでも、ぜひお話してみてください。