地方公務員ブロガー 納 翔一郎~富田林INFORMATION×WORK×LIFE~

【2022.12.28更新終了】地方公務員のこと、富田林市のこと、公務員本の読書記録などを書くブログです。

【前編】若手公務員コミュニティのリーダーに聞く!庁内の若手公務員を巻き込むコツとは?

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「若手公務員が全然参加しない!」
「どうやって若手の子を巻き込めば良いのかわからない!」

このような課題にぶつかっている公務員コミュニティのリーダーは、多くいるでしょう。
私も巻き込み方に思い悩んでいる公務員コミュニティのリーダーの一人です。

そんな中、私はオンライン市役所の庁内放送(非公開のLive配信)の木曜日パーソナリティーとして「公務員コミュニティのリーダーに学ぶ!」というテーマで、全国各地の公務員コミュニティのリーダーをゲストに招いてお話しているのですが、そこでゲストの一人の方に、「若手公務員の巻き込み方」を教えてもらいました。
この内容は、どの公務員コミュニティでも共通して考えられるものだと強く感じました。

では、それはどのような内容だったのでしょうか?
今回は、若手公務員コミュニティのリーダーに、庁内の若手公務員を巻き込むコツを聞きましたので、前編と後編の2記事に分けてご紹介します。

naya0708.hatenablog.com

なお、本記事はゲストでお話してくださった方の体験を通じたものとなりますので、ご了承下さい。

3つの庁内コミュニティ事例紹介!

事例紹介

まずは、ゲストさんが実際に取り組まれている庁内コミュニティの事例をご紹介していただきました。
いずれも「若手公務員が中心」であり、ゲストの方は「サポートのみ」となっているのがキーポイントです。
参考となる事例であるためしっかり書かせていただきましたので、是非ご覧ください。

事例1〜若手の「やりたい!」を実現する庁内コミュニティ

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最初の事例は、若手公務員が主体的に「やりたい」と取り組みの相談を受けたものでした。
ここでゲストの方は「本気で最後までするなら、お手伝いする」と言い、参加したそうです。

ここでの一つの大切なポイントは、期間がどれだけかかっても良いので、若手公務員に「成功体験」を積んでもらうことでした。
「成功体験」はゲームで言う「セーブポイント」みたいなものであり、将来何かで失敗しても、ここに戻れるものです。
例えば、「成功体験」がない若手公務員であれば、スーパーマリオで言う1-1に戻ってしまうこともあり得ます。
もしくは、ゲームオーバーになる可能性すらあります。

naya0708.hatenablog.com

つまり、この庁内コミュニティの事例は、主役が若手公務員であり、時間をかけてでも「成功体験」をさせることでした。
大事なことは本人たちに考えさせて、
「自分たちの取り組み」という「自信」と「当事者意識」へと繋げています。
そして「成功体験」へと導きます。

もし若手公務員ではない自分が出来るとしても、若手公務員たちにやらせてみることも大切なポイントです。
もし出来る先輩などが主導になると、若手公務員は気が引けて「お手伝い」になってしまい、「他人事」になってしまいます。
そのため、リーダーは「選手」ではなく「監督」になるくらいの気持ちで良いのかもしれません。

事例2〜若手が様々な部署の仕事を知る庁内コミュニティ

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2つ目の事例は、若手公務員の庁内の横の繋がりを作るコミュニティです。

若手公務員のうちに、他の部署の仕事について薄く知ることが主な目的です。
自分の部署以外の仕事を知ることで、もしかしたら今の部署での課題解決に繋がるかもしれません。
何より若手公務員は、まだまだ組織に染まりきる前の時期です。
その間に、いろんな経験と知識と繋がりを積んでおくことで、将来の財産となるでしょう。
このお話でゲストから出た言葉が「なるほど!」と思ったので、共有しておきます。

組織は絶対に「縦割り」であり、組織に横串をさせるのは「仕組み」ではなく「人間」でしかない。

このコミュニティの運営ルールは、とてもシンプルです。

  • 34歳以下の公務員しか入れない。
  • 話し手はA4用紙1枚しか準備をしてはいけない。

まず年齢制限を34歳以下としているのは、若手公務員の心理的安全性を確保するためです。
どうしても先輩公務員が多いと、その人の目を気にしてしまいます。
そのため、よりリラックスして自由に話をしてもらうためにも、年齢制限を設けているものです。

books.rakuten.co.jp

2つ目は、準備に手をかけさせないという意図があります。
誰でも簡単に準備ができるようにするためのものです。
準備をすることにハードルがあると、参加にも抵抗が出るかもしれません。
そのため、話し手の材料はA4用紙1枚という制限をかけています。

このようなルールを設定するだけで、誰でも運営が出来るようになりました。
喋る人と会場を予約するのみです。
喋る人も「自分の仕事を語る」のみなので、話がとてもしやすいです。

事例3〜若手にノウハウを伝える庁内コミュニティ

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3つ目の事例は、若手公務員にノウハウを譲り渡すコミュニティです。
今回は、公共空間の活用のノウハウを例にお話していただきました。

実際に課題となっていた「公園の活用」について、公園の使い方を知ってもらうことを目的にイベントを実施しました。
その時に、実施にあたり「どのような手続きがいるのか?」や「どのような問題があるのか?」を先輩公務員が全力でサポートしながら取り組んだものです。

このコミュニティの大きな目的の一つとして、イベントの企画運営の勉強がありました。
参加者からは参加費用としてお金を受け取り、運営がきちんと出来るだけのお金を回す実践の場にしています。
仕事ではなかなか出来ない経験を積む場を、先輩公務員が作ってあげるのは素敵だなと思いました。

www.realpublicestate.jp

また、公園の活用として行った公園でのイベントには、立ち寄った市民も複数人参加したそうです。
公共空間での取り組みであるため、市民を含めて誰でも自由に参加できる良さがあるなと感じました。

つまり、若手公務員へノウハウを伝えるだけではなく、「市民協働」や「市民を巻き込む面白さ」も伝えてしまう素晴らしいコミュニティ事例でした。

3つの庁内コミュニティ事例を通じてのまとめ!

まとめ

この3つの庁内コミュニティを進める上で感じたことを、以下のとおり、教えてもらいました。

行政を変えるには、若手公務員から!

1つ目が、若手公務員の重要性です。
まず前提としては、住民が期待していることが「役所組織のアップデート」ということです。

「お役所仕事」から抜け出すには、何のしがらみのない「若手公務員」の力が必要です。
そのためにも、役所組織の中で戦うことから逃げてはいけないことが大切だと思ったそうです。

役所組織を変えるのは、上からじゃなくて下から!

2つ目は、下から役所組織を変えていくということです。
若手公務員の個人個人に力はありませんが、「若手」という集団になると、上が気にするようになります。
上が気にすることで、組織風土が変わることもあるでしょう。

ここで一つのポイントは、若手公務員の「集団」に価値があることです。
若手公務員「個人」であれば、出る杭は打たれるという状態になるかもしれません。
つまり、自分を守るためにも「集団」になることは、大切なことです。

www.holg.jp

どんなに権力を持っていても、先輩公務員は先に辞める!

3つ目は、どんなに権力を持っていても、先輩公務員は間違いなく先に辞めることです。
逆に、後輩でもある若手公務員は退職まで一生一緒に働く仲間となります。

今の環境が辛い人に知っておいてほしいことは、年が経つにつれて少しずつ自分が上になり有利になっているということです。
その時のためにも、後輩職員を今のうちに味方につけることは年々有利になるでしょう。
若手公務員と繋がる価値は、ここにもあるとも言えます。

職員全体の意識を変えることは難しい!

4つ目は、職員全体の意識を変えることは難しいことです。
当然のことではありますが、家庭を持つ人もいるし、仕事を割り切っている人もいます。
若手公務員と言っても、本当に色々な考え方で働いている人がいることを知っておきましょう。

若手公務員のうちに少しでも関係性を築き、いろいろなところに「発想の種」を持った若手公務員を置いておくことで、いつか連鎖反応するかもしれません。
この種の「点」と「点」が繋がり成長することで、いずれ大きな「森」になることをゲストの方は期待されているそうです。

若手公務員の育成は難しい!

www.jt-tsushin.jp

最後は、若手公務員の育成は難しいということです。
当たり前の考えですが、意外と気付いていない人が多いです。

ここで話すと時間が足りないので割愛しますが、ポイントとしては「100点じゃなくてもいいので、後輩自信にやってもらうこと」が大切です。
まずは「やってもらう」「やりきってもらう」を意識してみましょう。

前編まとめ

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今回は、若手公務員コミュニティのリーダーに、庁内の若手公務員を巻き込むコツの前編をご紹介しました。

庁内の若手公務員コミュニティの事例だけでも、非常に濃くて参考になるお話でした。
今、若手公務員をどうにかして活性化させたい先輩公務員も多いと思います。
そこで、本記事でのご紹介が一つのコミュニティの形として参考になれば、嬉しく思います。

後編の記事では、具体的な「若手公務員を巻き込むコツ」や「若手公務員コミュニティのリーダーの役割」を聞きましたので、是非またご覧ください。

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