新型コロナウイルス感染症の影響により、例年より約2ヶ月遅れた令和2年10月7日と10月28日に人事院勧告が発表されました。
今年の人事院勧告の内容は、「期末手当の減額勧告」です。
人事院勧告は、私たち地方公務員の給与にも大きく影響する勧告であり、基本的には各自治体で同じような対応がとられます。
そのため、全国各地で興味関心を持つ地方公務員も多いです。
では、今回の人事院勧告はどのような内容だったでしょうか?
今回は、令和2年度人事院勧告のまとめについて、ご紹介します。
人事院勧告とは?
まずは、そもそも人事院勧告がどのようなものかわからない人もいると思いますので、簡単にご紹介します。
人事院勧告の概要!
人事院勧告を簡単に言えば、「国家公務員と民間企業の給与水準の釣り合いをとるための勧告」です。
人事院のウェブサイトに以下の通りご紹介されているので、ご参考にしてください。
人事院の給与勧告は、労働基本権制約の代償措置として、職員に対し、社会一般の情勢に適応した適正な給与を確保する機能を有するものであり、国家公務員の給与水準を民間企業従業員の給与水準と均衡させること(民間準拠)を基本に勧告を行っています。人事院は、国家公務員の給与等勤務条件の決定について、法定すべき基本的事項は国会及び内閣に対する勧告により、具体的基準は法律の委任に基づく人事院規則の制定・改廃により、その責務を適切に果たすよう努めています。
地方公務員にどのような影響があるのか?
先ほどの「国家公務員の給与水準を民間企業従業員の給与水準と均衡させること」という説明にもある通り、人事院勧告は国家公務員に対するものです。
しかし地方公務員も、この人事院勧告とほとんど同じ内容となります。
その仕組みは、以下の総務省のホームページにある「地方公務員の給与改定の手順」がとてもわかりやすいです。
最終的には、各地方自治体の議会の議決により給与条例が改定されて決定となりますが、その根本的な部分に人事院勧告があります。
そのため、人事院勧告は地方公務員にも大きな影響があると言えるでしょう。
令和2年度人事院勧告の内容とは?
令和2年度の人事院勧告は、「期末手当0.05ヶ月削減」という内容でした。
それぞれの人事院勧告の内容を確認してみます。
令和2年度人事院勧告の詳細は、こちらをご参照ください。
期末手当の減額勧告
今回の人事院勧告は、期末手当0.05ヶ月削減という内容でした。
ボーナスの決定は、以下のように決められています。
昨年8月から本年7月までの直近1年間の民間の支給実績(支給割合)と公務 の年間の支給月数を比較
つまり、それぞれの支給実績の単純比較です。
その結果、以下のようになりました。
- 民間企業:4.46月
- 国家公務員:4.50月
民間企業の支給割合と均衡を図るため、国家公務員は4.50月分から4.45月分へと引き下げになりました。
令和2年度6月
・期末1.30月(支給済み)
・勤勉0.95月(支給済み)
令和2年度12月
・期末1.25月(現行1.30月)
・勤勉0.95月(支給済み)
令和3年度6月以後
・期末1.275月
・勤勉0.95月
月例給の据え置き
今回の人事院勧告で、月例給の勧告はありませんでした。
月例給の決定は、以下のように決められています。
公務と民間の4月分給与を調査し、主な給与決定要素である役職段階、勤務地域、 学歴、年齢を同じくする者同士を比較
つまり、毎年4月の給与を基準として、決定しているものです。
その結果、以下のようになりました。
- 民間給与:408,704円
- 国家公務員給与:408,868円
ここで言う「民間給与」とは、単純な平均ではありません。
国家公務員の人員構成と同じ人員の民間企業であればいくら給与が支払われるのかを算出した民間給与額です。
そしてその結果を比較すると、164円 しか差がありませんでした。
民間給与との差がとても小さく、適切な改定が困難であることを理由に、月例給の改定が行われないこととなりました。
まとめ
今回は、令和2年度人事院勧告のまとめについて、ご紹介しました。
結論として、今年の人事院勧告は「期末手当0.05ヶ月分削減」という結果でした。
月例給は「官民格差がほとんどない」との理由で据え置きでしたが、それは4月時点の給与で調査されているためです。
新型コロナウイルス感染症の影響により、地方公務員の給与へ大きく影響が出てくるのは、来年以降でしょう。
「人事院勧告」は、地方公務員の給与にも大きく影響するものです。
もし人事院勧告を知らなかった方は、過去の人事院勧告などを見ながら、まずは「どのようなものか?」「今までどのような勧告があり、改定があった?」などを見てみてください。