地方公務員ブロガー 納 翔一郎~富田林INFORMATION×WORK×LIFE~

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【読書記録】『住民に伝わる自治体情報の届け方』

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2021年2月24日に、元三芳町の佐久間智之さんが学陽書房から『住民に伝わる自治体情報の届け方』を出版しました。
本書では、情報発信における「伝わる」技術やノウハウ、考え方がまとめられており、明日から実践できることがたくさん詰め込まれた1冊です。

情報発信は、広報・プロモーション担当のみの仕事ではなく、どの部署に所属していても欠かせない必須スキルです。
本書でも「全職員が広報担当である」と述べられている通り、まさに「全公務員」が必読の1冊です。

では、本書にはどのようなことが書かれているのでしょうか?
今回は、『住民に伝わる自治体情報の届け方』の感想について、ご紹介します。

本書の概要と感想!

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住民に伝わる自治体情報の届け方』(著者:佐久間 智之 氏)
2021年2月24日発売

佐久間 智之(さくま ともゆき)
早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員/厚生労働省年金広報検討会構成員/PRDESIGN JAPAN株式会社代表取締役/PRTIMESエバンジェリストZipang顧問。1976年生まれ。東京都板橋区出身。埼玉県三芳町で公務員を18年務め税務・介護保険・広報担当を歴任。在職中に独学で広報やデザイン・写真・映像などを学び全国広報コンクールで内閣総理大臣賞受賞、自治体広報日本一に導く。地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2019受賞。2020年に退職し独立。現在は早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員のほか自治体の広報アドバイザー、厚生労働省年金広報検討会構成員などを務めながら企業サポートも行う。全国で広報、デザインや人材育成の研修講師として活動。著書に『Officeで簡単!公務員のための「1枚デザイン」作成術』(学陽書房)、『図解 公務員1年目の仕事術』など多数。写真家としてJuice=Juice金澤朋子セカンド写真集『いいね三芳町』(ナツメ社)。

naya0708.hatenablog.com

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本書に書いていること!

まずは目次を確認してみましょう。

  • Chapter1:課題〜行政・自治体が生み出す情報発信のズレ
  • Chapter2:企画〜やることを目的化しない情報発信のルール
  • Chapter3:媒体〜何かに取りかかる前にする準備
  • Chapter4:作成〜何かを作る・配信するときの極意
  • Chapter5:ナッジ理論〜情報発信の質を高める行動心理学
  • Chapter6:発信〜誰ひとり取り残しのない情報の届け方
  • Chapter7:分析〜これからの時代だからこそできる広聴・傾聴
  • Chapter8:事例〜デジタルとデザインの新しい情報発信の形

本書は、自治体情報発信のノウハウや考え方、実践術が詰め込まれた1冊です。
もはや、伝わる情報発信に関して言えば、バイブル的な本です。
特に、「情報が届かない!」という悩みを持っている人は、必読です。

本書では、課題、企画、媒体、作成、ナッジ理論、発信、分析、事例と順に紹介されており、それぞれがとてもわかりやすくまとめられています。
このような情報発信に関する本で「ナッジ理論」を盛り込んだ本も、なかなかないでしょう。
どの部署でも役に立つ、情報発信の実務的な内容となっています。

本書を読んだ私の感想!

本書を読んだ私の感想は、「自治体情報の届け方を多くの公務員が知ることで、社会が変わるかもしれない!」でした。

本書では、コロナ禍における情報発信の事例も載っており、「あの時こうすれば、住民の満足度はもっと上がったのかもしれない。」と振り返ることが多々ありました。
情報発信の改善の連鎖が全国各地で起こることで、国民全体の行政情報に対する理解も深まり、社会も少しずつ変わるのではないかと、私は考えました。
「話が大きくなりすぎだ!」と思われるかもしれませんが、それほどの中身と価値のある1冊だということです。

また、本書の内容は、公務員のみでなく民間企業にも通じるものがあるでしょう。
他にも、地域団体や自治会などの人が読んでも、面白いと思います。
ぜひ公務員以外の方にも手に取ってもらい、読んでみてください。

www.jt-tsushin.jp

私が特にみんなに読んでほしい3つの内容!

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本書は、自治体の情報発信にとって重要なことが盛りだくさんの1冊でした。
たくさん紹介したいのですが、今回は、私が特に読んでほしい3つの内容について、簡単にご紹介します。

住民目線の情報発信へ!

まずは、「住民目線の情報発信」に関することです。
特に、Chapter1-01と02を注目してください。

  • Chapter1-01:行政と住民が「ズレる」一方通行の情報発信
  • Chapter1-02:全部伝えたいはNG!住民の疑問に応える

「とりあえず言いたいことを伝える!」
「必要な情報は、見ていない住民が悪い!」

みなさんは、このような状態に心当たりはありませんか?
このような感覚こそ、行政と住民のズレです。

そこで、まずは逆の立場になって考えてみてください。
自分が住民だと仮定した時に、広報誌が文字だらけで必要な情報がわかりにくい場合は、頑張って理解しようと思いますか?
そもそも読む気もなかなか起きませんよね?
つまり、このようなイメージができるかどうかです。

上記は、私がいつもお話している一例ではありますが、「どのようにしたら住民が理解できるか?」をしっかりと意識することが、最初の第一歩となるでしょう。
もちろん、内部目線のアリバイ作りや逃げ道だらけの情報発信も、本質がわからなくなるので、住民には伝わりません。

本書では、その本質的な「問い」を、私たちに投げかけてくれています。
住民目線の情報発信を行うためにも、必読のChapterです。

伝わる情報発信!

次に、「伝わる情報発信」についてです。
本書では、Chapter2-02で『課題を解決する「伝わる情報発信5-STEP」』と紹介されています。
簡単に言えば、以下のフローです。

  1. ゴール
  2. 手段
  3. 狙い
  4. いつ
  5. 課題抽出

結論として、「先にゴールを決めることが重要だ」と述べられています。
また、情報発信後に分析をすることで、より質の高い情報発信の循環へと繋げることもできます。

「なぜ作るのか?」
「見た人にどう感じて、どういう心境や行動変容を起こしてほしいのか?」

本書に書かれたこれらの言葉をしっかりと胸にしまって、私も今一度、「伝わる」情報発信を見つめ直したいと思います。

伝える≠伝わる!

最後は、「伝える≠伝わる」ことです。
全体を通して、本書は「伝わる」に特化した1冊でした。

ラブレターを書いても相手に届かなければ意味がない

Chapter3−03は、上記の見出しから始まるページですが、この一文だけで私には全てが伝わりました。
相手に伝えても、相手の心に届いていなければ、それは伝わっていないというものです。

本書では、「コミュニケーションデザイン」という言葉を用いています。
言葉の定義としては、以下のように述べられています。

どうすれば情報を伝わるものにできるのかを考えて、工夫を凝らすこと

事例として、ホームページのトップニュースの見出しを体言止めにしたり、難しい専門用語満載のお役所言葉を、誰でもわかる優しい言葉に変換したりするなどが紹介されていました。
つまり、「言葉の使い方」や「表現」に気を配ることが大切だということです。

私も課税課在籍時代には、「賦課」や「特別徴収」などの専門用語を普通に使っていましたが、これらの言葉は一般住民には全く伝わりませんでした。
この言葉を置き換えていくことで、住民サービスや満足度の向上にも繋がるものなんだと改めて再認識しました。

まとめ

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今回は、『住民に伝わる自治体情報の届け方』の感想について、ご紹介しました。

本書を通じて、住民への情報の届け方について、見つめ直す時間となりました。
また、佐久間さんもいつもお話する『「伝える」ではなく「伝わる」』に、これからも強くこだわっていきたいと改めて思いました。
私はこの1冊を手に、今後も公私ともに情報発信を追求していきます。

また、冒頭でもお話したように、情報発信は、広報・プロモーション担当のみの仕事ではなく、どの部署に所属していても欠かせない必須スキルです。
本書でも「全職員が広報担当である」と述べられている通り、まさに「全公務員」が必読の1冊です。
一つでも多くの情報がしっかりと住民に「伝わる」ためにも、まずは本書を手に取って、読んでみてください。

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