2021年4月10日に、ぎょうせいから『参加したくなる会議のつくり方 公務員のためのファシリテーション入門』が出版されました。
本書は、会議とファシリテーションについて、基礎編、技術編、実践編、成長編とステップアップしながら、基本に立ち返ることが出来る1冊です。
地方公務員として働く中で、誰もが会議を仕切る場面に遭遇します。
私も12年目ですが、何度も経験してきました。
また、オンライン会議も加速する中で、会議の場づくりは、非常に重要なスキルだと強く感じています。
そんな「会議の場づくり」に関するスキルを身に付けるには、とても良い1冊でした。
では、本書にはどのようなことが書かれているのでしょうか?
今回は、『参加したくなる会議のつくり方 公務員のためのファシリテーション入門』の感想について、ご紹介します。
本書の概要と感想!
『参加したくなる会議のつくり方 公務員のためのファシリテーション入門』(著者:加留部 貴行 氏)
2021年4月10日発売
加留部 貴行(かるべ たかゆき)
NPO法人日本ファシリテーション協会フェロー。1967年福岡県出身。九州大学法学部卒業後、西部ガス(株)入社。2001年に福岡市へNPO・ボランティア支援推進専門員として2年半派遣。2007年から九州大学へ出向し、ファシリテーション導入を通じた教育プログラム開発などを担当。企業、大学、行政、NPOの4つのセクターを経験した「ひとり産学官民連携」を活かした共働ファシリテーションを実践。2011年4月に独立。現在は、加留部貴行事務所AN-BAI代表。NPO法人日本ファシリテーション協会では九州支部長、副会長、会長を経て現在フェロー。他に九州大学大学院統合新領域学府客員准教授、早稲田大学マニフェスト研究所人材マネジメント部会専門幹事、福岡市研修企画アドバイザーなど。年間300件以上の会議・研修・ワークショップなどの企画・進行に関わっている。著書に『チーム・ビルディング』、『教育研修ファシリテーター』(いずれも共著・日本経済新聞出版社)など。
本書に書いていること!
まずは目次を確認してみましょう。
- 第1章:会議という場で何が起こっているのか
- 第2章:ファシリテーションの基本的な考え方
- 第3章:参加したくなる会議の「準備術」
- 第4章:参加したくなる会議の「対話術」
- 第5章:参加したくなる会議の「可視化術」
- 第6章:参加したくなる会議の「合意術」
- 第7章:参加したくなる現場を創る「進行術」
- 第8章:参加しやすさを生み出す「支援術」
- 第9章:実践への壁を乗り越える「導入術」
- 第10章:参加を促すファシリテーション活用事例
- 第11章:オンライン時代のファシリテーション
- 第12章:職員ファシリテーターの自己成長への心得
本書は、会議とファシリテーションの基本が学べる入門的な1冊でありながら、実践術も満載なノウハウ本でもあります。
全部で12章あるので多く感じるかもしれませんが、約200ページにわかりやすくまとめられており、非常に読みやすいです。
基礎編、技術編、実践編、成長編とステップを踏みながら書かれているので、自分のレベルにあったところを読み進めることもできます。
「会議をどうにかしたい!」と思っているあなたにとって、間違いなく解決に導いてくれるものとなるでしょう。
本書を読んだ私の感想!
本書を読んだ私の感想は、「参加したくなる会議が増えれば、働くことが楽しくなる人も増えそうだ!」でした。
まず、最初に基礎編として書かれている「会議」と「ファシリテーション」については、何度でも読みたい章でした。
第1章と第2章で基礎をしっかりと身に付けることで、第3章以降が充実したものになるのではないかと思います。
また、事前準備や進め方など、会議のステップ別で的確なアドバイスが満載です。
様々なケースでの会議のつくり方とファシリテーション術が書かれているため、この1冊であらゆる対応ができるでしょう。
地方公務員も、市民とのワークショップや庁内での組織横断会議など、会議術やファシリテーション技術を求められる場面が増えています。
これから地方公務員に欠かせないスキルとなる「場をつくる力」と「場を回す力」を、本書を通じて養ってみましょう。
私が特に本書で読んでもらいたい3つの章!
本書は、会議とファシリテーションについて、基礎から実践まで、わかりやすくまとまった1冊でした。
新人公務員からベテラン公務員まで、とても役に立つものだと思いますが、その中でもぜひ多くの人に読んでほしい3つの章をご紹介します。
第3章:参加したくなる会議の「準備術」
まずは、第3章の「準備」に関する章です。
『仕事は準備が10割』というビジネス本が出版されているほど、準備は本当に大切なものと一般的に言われています。
私自身も、会議の前にはかなりの準備をしています。
本書の第3章は、「会議の準備は、これで大丈夫!」と言っても過言ではないほど、しっかりとした内容で書かれています。
その中でも特に、一番最初に書かれている「会議の目的と目標を設定する」ことは、主催者側の責務であり、大切なことだと強く共感しました。
目的と目標を設定して、参加者とビジョンを共有するだけでも、会議はかなり有意義なものとなるでしょう。
他にも、会議の空間配置や雰囲気づくり、必要な道具など、会議の準備に必要なことが様々書かれています。
いずれも実践に役に立つものばかりですので、これから会議を主催するという人は、一度見ながらでも試してみてください。
第7章:参加したくなる現場を創る「進行術」
次に、第7章では、会議の「進行」について書かれています。
会議の最初の進め方や発言の生み出し方、要点整理、時間管理など、会議の進行に関するノウハウがわかりやすくまとめられています。
ポイントとして、以下の5つが述べられていました。
- 会議の始まりは基本的な流れをテンポよく進める
- 会議時間内に「声を出す」機会を短時間でも意識的に創る
- 大人数での発散・共有にはワールド・カフェが効果的
- 要点整理は目的やテーマに沿って要約して可視化する
- 時間は常に時計と進行表を見ながら意識して進行する
私も会議の進行は何度も任せていただいていますが、とにかく「最初」と「最後」が全てだなと感じています。
本書でも書かれている最初のテンポ、そして、最後の要約と可視化はとても重要なものです。
より効果的な会議の場をつくるためにも、この第7章を真似してみるところこら始めてみても良いかもしれません。
第11章:オンライン時代のファシリテーション
最後に、第11章では、オンライン時代のファシリテーションについて、紹介されています。
新型コロナウイルス感染症の影響により、オンライン会議が日常的になってきました。
本書では、オンライン会議の性質や準備と導入、進行方法など、まさに今役に立つ会議術が丁寧にまとめられています。
オンライン会議は、オフライン会議と違う難しさがあります。
特に、本書でも紹介されている以下のことは、私もかなり意識しています。
参加者は各々の場で「ひとり」であることを意識する
そして、常に「参加者ファースト」の視点が大切となります。
今参加者はどのように見えているのか?という客観的な意識が必要なのかもしれません。
そもそもオンラインツールを使い慣れていない人にとっては、使い慣れるまでが大変だと思います。
しかし、オンライン会議をうまく活用することで、働き方は間違いなく変わっていきます。
まずは慣れるところから、始めてみてはいかがでしょうか?
まとめ
今回は、『参加したくなる会議のつくり方 公務員のためのファシリテーション入門』の感想について、ご紹介しました。
本書を通じて、「会議」と「ファシリテーション」の重要性を改めて感じた時間となりました。
これから地方公務員として働く上で、本当に欠かせないスキルだと思います。
若手地方公務員からベテラン地方公務員まで、すべての方々に読んでもらいたいです。
また、加留部さんの人柄が見えるような優しい文章だったので、直接お会いしてみたくもなりました。
加留部さんのファシリテーション術を身に付けれるように、私も精進したいです。
みなさんも共に頑張りましょう。