2021年5月21日に、学陽書房から『現場のプロがやさしく書いた 自治体の滞納整理術』が出版されました。
本書は、滞納整理に関する実務的なノウハウが集約された、現場で役に立つ1冊です。
滞納整理に関する専門的な知識を持たない私でも、滞納整理担当がどのような知識を持ち、どのように仕事をしているのかについて、とてもわかりやすく理解することが出来ました。
また、本書の後半で紹介されている滞納整理のテクニックと極意は、幅広い部署で役に立つ仕事術でもありました。
本書を読んだ人は、著者の岡元さんから滞納整理の仕事術を通じて、たくさんの「気付き」を与えてもらうことができるでしょう。
では、本書にはどのようなことが書かれているのでしょうか?
今回は、『現場のプロがやさしく書いた 自治体の滞納整理術』の感想について、ご紹介します。
本書の概要と感想!
『現場のプロがやさしく書いた 自治体の滞納整理術』(著者:岡元 譲史 氏)
2021年5月21日発売
岡元 譲史(おかもと じょうじ)
大阪府寝屋川市経営企画部企画四課課長代理兼係長。1983年生まれ。2006年に同市入庁後、12年間にわたり、様々な債権の滞納整理に従事し、市税滞納額70%(約25億円)削減に貢献。2020年より現職。「滞納整理に価値を見出して伝えることで、受講者の不安や葛藤を取り除く」という独自スタイルによる研修を全国で実施し、6年間で延べ3,700人が参加。受講者が給食費の滞納ゼロを達成するなど、すぐに使えて再現性の高いノウハウを伝えている。執筆に、「滞納整理のための空地・空家対策」(『税』2018年3月号)など。「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2018」受賞。プライベートでは2男児の父。PTA会長を務めるなど地域の活動も行う。
本書に書いていること!
まずは、目次を確認してみましょう。
- 第1章:まずはこれだけ!滞納整理のポイント
- 第2章:これで安心!「納付折衝」徹底対策
- 第3章:滞納を解消!あらゆる手段を使いこなそう
- 第4章:今日から使える!滞納者対応テクニック
- 第5章:さらにもう一歩!滞納整理の極意
- 第6章:ここが知りたい!実務上のQ&A
本書は、「滞納整理の仕事」に特化した内容が、著者の12年間の経験に基づいてわかりやすく丁寧にまとめられています。
滞納整理担当者は、間違いなく必携の1冊です。
滞納整理の担当者が、改めて滞納整理の仕事内容や役割を知ることで、自治体の財政を支える滞納整理の仕事へ誇りを持つことができるでしょう。
また、窓口対応のテクニックや滞納整理の極意も惜しみなく書かれているため、日頃の仕事での悩みや課題を解決することにも繋がるかもしれません。
滞納整理への苦手意識を取り除き、滞納整理の仕事に価値ややりがいを見つけるためにも、全国各地の滞納整理担当には必ず読んでほしい1冊です。
本書を読んだ私の感想!
本書を読んだ私の感想は、「滞納整理の仕事術・思考術は、どの部署でも活きる」でした。
本書は、著者の岡元さんの12年間にわたる経験が1冊にまとめられた、まさに「現場のプロ」による実践本です。
「滞納整理担当にとっては、とても心強い1冊ではないか?」とも感じました。
そして、第4章は全窓口部署、第5章はどこの部署にでも役に立つ仕事術や思考術です。
「滞納整理担当者」が必読なことはもちろんですが、私のような「滞納整理担当者以外」にとっても生涯役に立つスキルが身につく内容となっていますので、ぜひ読んでみてください。
岡元さんもFacebookで以下のように投稿していましたので、この場でも共有しておきます。
12年間、滞納整理の現場で培ったノウハウは滞納整理担当者だけでなく、他の窓口担当者や民間企業の接客・営業職の方なんかにも何かしたらお役に立てるのではないかと思っています。騙されたと思って読んでみてください。
(引用:2021年4月4日 岡元譲史さんFacebook投稿)
滞納整理担当ではない人にも読んでほしい3つの理由とは?
本書は、「滞納整理術」に特化した1冊でしたが、私は、滞納整理担当ではない人にも読んでほしいと思いました。
滞納整理担当の経験がない私でも、将来の役に立つと感じるポイントがいくつもありました。
ここでは、その3つの理由についてご紹介します。
滞納整理の仕事を知る!
まずは、滞納整理の仕事を知ることです。
本書は、滞納整理の全体像から具体的な仕事術まで、わかりやすく丁寧に書かれています。
第1章では、「滞納整理の仕事」を以下のように紹介しています。
自治体運営にはお金が必要であり、その財源は住民・企業からの税金、保険料、各種サービス利用料などで賄われています。それらの大半は納期内に納付されますが、中には期限までに納付されず、延滞となってしまう場合があります。この滞納案件に対処するのが滞納整理の仕事です。
滞納整理の仕事は、自治体を財政面で支える大切な役割を担っています。
仕事の様子だけ見ていると「大変そう」や「行きたくない」と思われがちかもしれませんが、仕事を通じて自治体へ果たす役割はとても大きいです。
そして、住民の役に立てる仕事ということが、本書を読むことで理解することができます。
また、滞納整理は、専門用語を非常に多く取り扱う仕事でもあります。
そのため、専門用語の多さに対して、無意識に抵抗を持つ人もいるでしょう。
しかし本書では、専門用語の解説や丁寧な言い回しで、とても読みやすく書かれています。
本書は、このような「滞納整理」に対する漠然とした苦手意識を、解消してくれる1冊です。
「滞納整理の仕事を知らない」という人には、ぜひ読んでもらいたいです。
滞納者対応のテクニックは、全窓口部署に通ずる!
次は、滞納者対応のテクニックは全窓口部署に通ずることです。
窓口部署における住民対応は、時に厳しい言葉を受けることがあります。
本書の第4章に書かれている「滞納者対応のテクニック」は、窓口部署で住民対応をする地方公務員の悩みや課題を解決するものになるかもしれません。
滞納者との具体的な対応方法や接し方などが丁寧にまとめられており、窓口部署においても同様の対応方法がとれると、私は思いました。
私が特に共感したことは、「怒鳴る」に対する考え方です。
著者の岡元さんは、「怒鳴る相手を見るのではなく、怒鳴る原因を見る」と述べています。
この考え方は、窓口業務における本質的なものであり、欠かしてはいけない観点でしょう。
このような内容を含め、あなたの日頃の業務の力となる対応テクニックが多く載っています。
ぜひ本書を一度読んでみて、窓口部署の住民対応へ活かしてみてほしいです。
滞納整理の極意は、どこでも役に立つ仕事術!
次は、滞納整理の極意はどこでも役に立つ仕事術ということです。
本書の第5章に書かれている「滞納整理の極意」は、地方公務員として働く上で必要な考え方ばかりでした。
私は、主に以下の2つの内容が、とても心に刺さりました。
- Give,Give,Give!「与える」職員になれ!
- 自分もチームも伸ばす「バトンパス」の意識
特に、「知識と安心感を提供する」という観点は、とても大切な考え方です。
どのような仕事でも住民に対してこの心を持って接することが、本当の意味で「住民サービスの向上」に繋がると、私は考えています。
著者の岡元さんが12年間で磨き上げた滞納整理の極意は、滞納整理担当者ではない全ての地方公務員にとっても、「地方公務員として大切なこと」に気付かせてもらえる内容でした。
ぜひみなさんも、第5章を通じて、地方公務員としての仕事術を学んでみてください。
まとめ
今回は、『現場のプロがやさしく書いた 自治体の滞納整理術』の感想について、ご紹介しました。
本書は、滞納整理担当者にとっては、職場に1冊置いておきたい実践書となるでしょう。
また、滞納整理担当者でない人にとっても、窓口対応術や仕事術など、地方公務員としての成長に繋がる内容となっています。
そして、滞納整理に関する専門的な知識を持たない私でも、滞納整理担当がどのような知識を持ち、どのように仕事をしているのかを理解することが出来ました。
滞納整理の仕事は、漠然と苦手意識を持つ地方公務員は多いと思います。
しかし、滞納整理の仕事が自治体に対して果たす役割は、非常に大きいです。
このことを、本書を通じて、ぜひみなさんにも知ってもらいたいです。
2019年10月に開催された、HOLGの加藤さんの『なぜ、彼らは「お役所仕事」を変えられたのか?』出版記念イベントで、私は初めて岡元さんとお会いしました。
私の岡元さんの第一印象は、笑顔がとても素敵で優し過ぎる地方公務員でした。
そして、今となっては、同じ地方公務員として目指したい大きな存在であり、同じ大阪人として誇りに思えるような人です。
ぜひみなさんも、大阪に来られる際には、寝屋川市の岡元さんと会ってみてほしいです。
まずは、本書を手にとって、岡元さんの優しい文章を感じてみてください。