2021年9月14日に、第一法規から『DXで変える・変わる 自治体の「新しい仕事の仕方」』が出版されました。
本書は、自治体DXの推進による業務改善の考え方や効果、事例などを解説と「新しい仕事の仕方」が提示された1冊です。
自治体DXの基礎知識やICTツールの導入方法、情報セキュリティポリシーなど、「自治体DXのことを全く知らない」という人でも、DXのポイントや効果がわかりやすく丁寧にまとめられています。
私は、あまりDXのことをきちんと理解していないまま、言葉だけ漠然と知っている状態でした。
しかし、本書を読み終えて、これからの働き方に様々な可能性を感じました。
では、本書にはどのようなことが書かれているのでしょうか?
今回は、『DXで変える・変わる 自治体の「新しい仕事の仕方」』の感想について、ご紹介します。
本書の概要と感想!
『DXで変える・変わる 自治体の「新しい仕事の仕方」』(著者:髙橋 邦夫 氏)
2021年9月14日発売
髙橋 邦夫(たかはし くにお)
合同会社 KUコンサルティング 代表社員。電子自治体エバンジェリスト。一関市 最高情報セキュリティアドバイザー。1989年豊島区役所入庁。情報管理課、税務課、国民年金課、保育課などに勤務。2014〜2015年は豊島区役所CISO(情報セキュリティ統括責任者)を務める。2015年より総務省地域情報化アドバイザー、ICT地域マネージャー、地方公共団体情報システム機構地方支援アドバイザー、文部科学省ICT活用教育アドバイザー(企画評価委員)、2016年より独立行政法人情報処理推進機構「地方創生とIT研究会」委員。2018年豊島区役所を退職、合同会社KUコンサルティングを設立し現職。豊島区役所在職中、庁舎移転に際して全管理職員にテレワーク用PCを配布、また庁内LANの全フロア無線化やIP電話等コミュニケーションツールを用いた情報伝達など、ワークスタイルの変革に取り組む。庁外では、自治体向け「情報セキュリティポリシーガイドライン」、教育委員会向け「学校情報セキュリティポリシーガイドライン」策定にかかわる。自治体職員としての29年間、窓口業務や福祉業務を経験する一方、情報化施策にも継続的に取り組んでおり、情報化推進部門と利用主管部門の両方に所属した経験を活かし、ICTスキルとともにDX推進のための組織の問題にもアドバイスを行っている。一関市のほか、深谷市、飯島町など10を超える自治体のアドバイザーを務めている。2015年には総務省情報化促進貢献個人等表彰において総務大臣賞受賞。2019年には情報通信月間記念式典において関東総合通信局長表彰(個人)受賞。
本書に書いていること!
まずは目次を確認してみましょう。
本書は、自治体DXの推進による業務改善の考え方や効果、事例などを解説と「新しい仕事の仕方」が提示された1冊です。
自治体DXがどのようなものか、そして、ICTツールの導入や考え方について、とてもわかりやすくまとめられています。
「今までの仕事の仕方を変える」という視点を軸として、DX 推進の効果が解説されています。
そのため、本書を通じて、庁内におけるDXに対する漠然とした抵抗感を取り除きながら、業務改善の検討が行えるようになるでしょう。
地方公務員におけるテレワークの可能性やこれからの時代のICT ツール活用など、私たちのこれからの働き方に関する問いかけやヒントが多く詰め込まれた1冊です。
本書を読んだ私の感想!
本書を読んだ私の感想は、「私たちの働き方を変えるのは、自分たち次第だとわかった」でした。
そもそも自治体DXは、情報システム部門だけで取り組むことではありません。
「組織全体の仕事の進め方を変える」という視点が、非常に重要となります。
詳しくは後述しますが、全地方公務員が自治体DXに向き合うべき理由が理解できました。
そのため、自治体DXに対して、どこか他人事な感覚をお持ちの地方公務員のみなさんにこそ読んでもらいたいと、私は感じています。
本書で特に読んでほしい3つの内容!
本書は、公務員として働く意味や楽しさに気付けた1冊でした。
ここでは、本書で特に読んでほしい3つの内容について、ご紹介します。
自治体のデジタル化と自治体DXは違う!
自治体のデジタル化とは、これまでの業務をデジタル化してそのまま行うことです。
それに対して、自治体DXとは、デジタル技術を用いて仕事の進め方を効率化・高度化(スマート化)することです。
デジタル・トランスフォームという言葉の意味の通り、自治体DXは「デジタルの活用により業務を変えること」が狙いです。
また、自治体DXは、情報システム部門だけでなく、業務改革部門と合体して考えるべきものだと述べられていました。
ICTツール導入が目的ではなく、その先の業務改革が重要であるためです。
そもそも、ICTツールを導入したとしても、仕事のやり方が変わっていないのであれば、それは自治体DXではありません。
自治体DXの意味と役割を改めて理解するためにも、本書を多くの地方公務員に読んでもらいたいです。
ICTツール導入を目的にしてはいけない!
次は、ICTツール導入を目的にしてはいけやいことです。
ICTツールの導入で一番大切なことは、「何を導入するか?」ではなく、「何を解決するのか?」と「何を実現するのか?」です。
ICTツールの導入だけに限った話ではありませんが、ICTツールの導入には、特に必要な視点となります。
また、他自治体の先進事例を真似してツールを導入しても、同じ成果を得られるとは限りません。
ICTツールの導入が目的ではなく、導入した後の運用や検証、改善が重要となります。
そのため、いかに導入後の姿を見据えるか、また、課題や効果をあげるためのルールづくりなどが大切でしょう。
デジタル人材を増やすための仕掛け!
最後は、デジタル人材を増やすための仕掛けです。
デジタル人材を増やすためには、「外部人材の活用」と「職員の育成」という2つの視点があります。
「外部人材の活用」も大切ではありますが、外部人材を受け入れる私たち職員がデジタルに弱いままであると、とても外部人材を受け入れることなどできません。
そのため、私は、まず「職員の育成」に力を入れる必要性を感じています。
また、「職員の育成」も、特に権限をもつ「管理職」の育成が重要となるでしょう。
地方公務員のみなさんは理解されると思いますが、結局は、管理職がどう考えて、部下にどのような命令を出すかが全てとなります。
どれだけ若手職員の中でデジタル人材が育ったとしても、管理職の能力が低いと、なかなかスキルが役に立つことがありません。
自治体DXを進めて働き方を変えていくためにも、まずは、管理職の職員育成を重点に着手すべきでしょう。
まとめ
今回は、『DXで変える・変わる 自治体の「新しい仕事の仕方」』の感想について、ご紹介しました。
本書は、自治体DXの推進による業務改善の考え方や効果、事例などを解説と「新しい仕事の仕方」が提示された1冊でした。
特に、情報システム部門だけでなく、行政改革部門なども含めた全庁的に取り組む重要性を、本書を通じて理解することができました。
私たち地方公務員の仕事は、いつまでも過去の方法に縛られていてはいけません。
これからの未来は、仕事は増え続ける中で職員数減少が当たり前となるでしょう。
働き方を根本から考え直す機会として、ぜひ本書を読んでみてください。