地方公務員ブロガー 納 翔一郎~富田林INFORMATION×WORK×LIFE~

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地方自治体の事務の種類を知る!「自治事務」と「法定受託事務」の違いとは?

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地方公務員のみなさんは、普段行なっている事務の根拠はご存知でしょうか?
実は、私たち地方公務員が行う事務は、地方自治法の中で「自治事務」と「法定受託事務」に整理されています。

私たち地方公務員は、日々自分の目の前の仕事を片付けることが精一杯で、行なっている事務の根拠を知らない人が多いかもしれません。
しかし、「なぜこの事務をしているのか?」の根拠を法律からきちんと押さえることで、事務全体のイメージや理解の向上、モチベーションに繋がることもあります。
私は、新しい事務を行う時に「事務の種類」を明確に理解することで、仕事の充実度が変わっているような気がしています。

では、地方自治体の事務には、どのような種類と違いがあるのでしょうか?
今回は、地方自治体の事務でもある「自治事務」と「法定受託事務」の違いについて、ご紹介します。

地方自治体の事務の根拠を知ろう!

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地方自治体の事務は、地方自治法で定められています。
まずは、その根拠条文と経過について、ご紹介します。

地方自治法を読んでみよう!

地方自治法の事務について、地方自治法第二条2項には、以下のように定められています。

地方自治法
第二条 地方公共団体は、法人とする。
② 普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する。
③ 市町村は、基礎的な地方公共団体として、第五項において都道府県が処理するものとされているものを除き、一般的に、前項の事務を処理するものとする。
④ 市町村は、前項の規定にかかわらず、次項に規定する事務のうち、その規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものについては、当該市町村の規模及び能力に応じて、これを処理することができる。
⑤ 都道府県は、市町村を包括する広域の地方公共団体として、第二項の事務で、広域にわたるもの、市町村に関する連絡調整に関するもの及びその規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものを処理するものとする。
⑥ 都道府県及び市町村は、その事務を処理するに当つては、相互に競合しないようにしなければならない。
⑦ 特別地方公共団体は、この法律の定めるところにより、その事務を処理する。
(引用:「地方自治法」抜粋)

地方自治法第二条2項の通り、地方自治体の事務は、「地域における事務」と「その他の事務」に分けられます。
「地域における事務」の内訳として、「自治事務」と「法定受託事務」があります。

平成12年度末に機関委任事務の廃止!

先ほどご紹介したように、現在の地方自治体の事務には「自治事務」と「法定受託事務」の2つがあります。
その歴史を少し遡ると、平成12年3月末までは「機関委任事務」というものがありました。

従来は、地方公共団体の長を大臣の下級行政機関とするものが「機関委任事務」だったのですが、平成12年4月からの『地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律』の施行に伴い、廃止となりました。
その結果、地方自治体が処理する事務を、現在の形である「自治事務」と「法定受託事務」にされ、地方自治体は法令に違反しない限り、地域の事情や住民ニーズなどに応じた自主的な行政運営を行うことができるようになりました。

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「自治事務」と「法定受託事務」の違いとは?

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先ほどから何度もお話する通り、地方自治体が行う事務は、「自治事務」と「法定受託事務」の2つに分かれます。
では、それぞれどのように違うのでしょうか?

「自治事務」とは?

地方自治法第二条
⑧ この法律において「自治事務」とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいう。
(引用:「地方自治法」抜粋)

「自治事務」とは、地方自治体の事務のうち、「法定受託事務」以外の事務のことです。
例えば、住民基本台帳事務や小中学校の設置・管理、市町村税の賦課・徴収、飲食店に対する営業許可や都市計画の策定などです。

このことからわかる通り、日頃から行なう地域に根強く関わる事務の大半が、「自治事務」に該当します。
まずは、あなたが行なっている仕事が「自治事務」かどうかを理解するところから始めると良いでしょう。

「法定受託事務」とは?

地方自治法第二条
⑨ この法律において「法定受託事務」とは、次に掲げる事務をいう。
一 法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであつて、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第一号法定受託事務」という。)
二 法律又はこれに基づく政令により市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、都道府県が本来果たすべき役割に係るものであつて、都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第二号法定受託事務」という。)
(引用:「地方自治法」抜粋)

「法定受託事務」とは、本来は、国又は都道府県が本来果たすべき役割に係る事務です。
しかし、迅速な対応や住民の利便性などの観点より、委託された事務を言います。

そして、 「法定受託事務」には、「第一号法定受託事務」と「第二号法定受託事務」の2種類があります。
簡単に言えば、国から都道府県・市町村に委託されるものが「第一号法定受託事務」で、都道府県から市町村に委託されるものが「第二号法定受託事務」です。
例えば、以下のような事務が該当します。

  • 第1号法定受託事務:国政選挙、国道の管理、生活保護の決定、旅券交付など
  • 第2号法定受託事務:知事選挙や都道府県議会選挙など

「法定受託事務」の一覧は、地方自治法の下部にある「別表第一 第一号法定受託事務(第二条関係)」と「別表第二 第二号法定受託事務(第二条関係)」に明記されています。
少し読みにくいとは思いますが、どのような事務が「法定受託事務」に該当するのか、ぜひ一度ご覧ください。

「自治事務」と「法定受託事務」の違いとは?

最後に、「自治事務」と「法定受託事務」の違いについて、確認します。

先ほどのご紹介の通り、事務の種類や区分などが異なることはもちろんですが、一番大きな違いは、国の関与度合いが異なることです。
主に、地方自治法の以下の条文に定められています。

  • 第二百四十五条の四(技術的な助言及び勧告並びに資料の提出の要求)
  • 第二百四十五条の五(是正の要求)
  • 第二百四十五条の六(是正の勧告)
  • 第二百四十五条の七(是正の指示)
  • 第二百四十五条の八(代執行等)

では、地方自治法に書かれていることを整理します。
「自治事務」は、技術的な助言や勧告、是正の要求に留まります。
しかし、「法定受託事務」は、是正の指示や国による代執行などの強い関与が認められているのです。
このことから、「自治事務」と「法定受託事務」の大きな違いは、国の関与度合いにあると言っても過言ではないでしょう。

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まとめ

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今回は、地方自治体の事務でもある「自治事務」と「法定受託事務」の違いについて、ご紹介しました。

私たち地方公務員は、地方自治法を始めとする仕事の根拠となる条文を押さえておくことで、私たちの仕事の目的意識の明確化や全体イメージの理解向上、そして、もしかしたらモチベーションの向上にも繋がるかもしれません。
そのため、地方自治法をきちんと読んだことがない人は、ぜひ最初の法律の趣旨だけでも読んでもらえると幸いです。

地方自治法第二条
⑭ 地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。
(引用:「地方自治法」抜粋)

また、地方自治法第二条には、「住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」とも書かれています。
この一文は、私たち地方公務員の仕事の肝であり、義務でもあります。
このような大切な言葉が、様々な法律のあちこちにありますので、ぜひ今関わっている仕事の本質的な根拠条文を探してみてください。

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