全ての地方公務員のみなさんに伺います。
今年の人事異動は、納得できるものでしたか?
様々な地方公務員の声やSNSの投稿より、人事異動は不満が多い話題だと私は感じています。
そして先日、ジチタイワークスWEBにて、全国各地の公務員の声と自治体人事担当者の声がまとめられた記事が出されており、多くの意見が掲載されていました。
どの意見もリアルな現場の声であり、とても納得できる内容もありました。
てば、そもそも、なぜ人事異動は不満が多い話題になるのでしょうか?
今回は、自治体の現場職員と人事担当部局での3つのギャップについて、ご紹介します。
現場職員と人事担当部局のそれぞれの声を確認する!
ジチタイワークスさんが、現場職員のアンケート調査と人事担当部局のヒアリングを行い、3つの記事にわけて記事を掲載しました。
まずは、それぞれの記事の概要について、ご紹介します。
全国の現場職員の声!
まずは、全国の現場職員の声です。
アンケートは、全国各地から5,000人以上の現役公務員が参加するプラットフォーム『オンライン市役所』の協力で行われました。
ジチタイワークスの記事を読むと、生々しいリアルな声がたくさんあったことがわかります。
全国の現場職員の声を、いくつか抜粋してみました。
- 異動部署に納得していない!
- 異動を希望していなかった!
- 公務員キャリアが構築されない!
- 専門的なキャリア育成をしてほしい!
- 適性を加味してほしい!
- 引き継ぎの負担を減らしてほしい!
- 異動時期と異動先は早めに知りたい!
- 異動に納得している人もいる!
本記事を読んだ全体的な印象としては、「基本的には人事異動に納得していないケースがほとんどなんだろう」と感じました。
人事異動に対する人事担当部局や組織への不満が、公務員の働くモチベーションを下げる一因になっていると言っても過言ではないでしょう。
人事担当部局の声!
次は、人事担当部局の声です。
全国の現場職員が気になっている「人事異動の内示の遅さ」と「異動が頻繁な理由」などについて、述べられていました。
簡潔にまとめると、以下のような理由です。
- 内示がギリギリな理由:現在の業務に集中してもらいたいから!
- 異動が頻繁な理由:自分の適性を見出し活躍のきっかけにしてほしいから!
- 何よりも「組織の最適化」が最優先だから!
本記事を読んで、全国の現場レベルで働く公務員のみなさんの感じ方は様々だと思います。
しかし、人事担当部局の職員も、人事異動で偶然人事課に配属された一人の職員だということを理解しておきましょう。
そのうえで、今、人事担当部局の考え方を知る記事として、以下の2つの記事を読めば、何が起きているのかを読み解くことが出来ると思います。
現場職員と人事担当部局の声を見比べてわかる3つのギャップとは?
では、先ほどの現場職員と人事担当部局の声のギャップは、どのようなものでしょうか?
ここでは、3つのギャップをご紹介します。
人事異動の内示時期!
まずは、人事異動の内示時期です。
「なぜいつもギリギリなのか?」
「もっと早く言ってほしい!」
みなさんの所属する自治体でも、毎年このような声はどこかで聞こえてきませんか?
年度末ギリギリに人事異動の内示を出すとしても、逆に人事異動が気になって集中していない職員も多い印象を私は受けています。
しかし、人事異動の内示を早く出すことで、担当業務に集中しなくなる「職務専念義務」という概念を守りたい人事担当の気持ちも理解できます。
適材適所の人事配置!
次は、適材適所の人事配置です。
まず職員が理解しておかなければならないことは、人事担当部局も全職員の適正やスキルを全て正確に把握しているわけではないことです。
そのため、職員自身が様々な場で自己発信をしたり、職員同士のコミュニケーションによる意思表示が大切とも言えるでしょう。
しかし、この実情を理解していても、人事異動は納得が生まれにくいものです。
地方自治体の人材不足や住民ニーズの多様化、業務の煩雑化が進む時代においては、適材適所の人事配置よりも「職員個人のスキルアップ」が大切なのかもしれません。
人事異動の頻度!
最後は、人事異動の頻度です。
人事異動の頻度が多いことで、「せっかく仕事を覚えたのに」や「仕事が回らなくなる」などの声は必ずでます。
しかし、職員の適正開発や不正防止という観点から、人事異動は必要なものです。
私が実践している人事異動の対策としては、常日頃からチーム全員で引継書・マニュアル作成を提案しています。
スペシャリストが育ちにくい地方自治体の人材配置・人事異動だからこそ、人事異動前提の仕事方法を考えてみましょう。
現場職員と人事担当部局の声のギャップを埋めるためにはどのようにすれば良いのか?
では、現場職員と人事担当部局の声のギャップを埋めるためには、どのようにすれば良いのでしょうか?
この問いは答えのないものです。
しかし、一つ確実に言えることは、情報の透明化は欠かせないと私は思っています。
ここでご紹介する内容が、人事異動を考える一つのきっかけになれば嬉しく思います。
人事異動内示の予定日時の公表!
まずは、人事異動内示の予定日時の公表です。
人事異動内示の予定日時を公表することで、少なくとも「人事異動の内示はいつだろう?」という現場職員の不満は解消されます。
「もっと早く内示を出してほしい」という声も出るとは思いますが、組織的な問題であり、いきなり改善を望めるものでもありませんので、まずは内示日時の公表です。
内示を出すのはギリギリでやむを得ないとしても、人事内示予定日時を公表するくらいは出来るのではないでしょうか?
ぜひ人事担当部局のみなさんは、検討してみてください。
人事異動の理由を説明する!
次は、人事異動の理由を説明することです。
人事異動の対象となった職員に対する理由の説明は、最低でもするべきだと私は考えています。
公務員として定年まで働かない選択をする若手職員が増えている中で、少しでもやりがいやモチベーションを保つために必要なことだからです。
しかし、全ての説明を人事担当部局が行うことはとても大変です。
そのため、所属長へ通知して面談を義務づける形でも良いので、人事異動対象職員とのコミュニケーションの機会を取るようにしてみてほしいです。
人事異動の頻度を決める!
次は、人事異動の頻度を決めることです。
例えば、様々な部署を見て適正を見極めて欲しいのであれば、採用4年は2年ずつ窓口系と事業系にいってもらうことをルール付けにしたり、その後も基本的には管理職手当が出る役職につくまでは、3,4年に一度の異動を絶対ルールにするなどにすれば良いと思います。
この頻度が徹底されれば、事務の引き継ぎも含めてマネジメントしやすいでしょうし、何より職員同士の交流や部局間連携も活発になっていくでしょう。
人事異動の頻度を決めて運用している事例は、組織の大小問わず全国各地の自治体にあります。
ぜひ実践している自治体の声を聞きながら、取り組んでみてほしいものです。
まとめ
今回は、自治体の現場職員と人事担当部局での3つのギャップについて、ご紹介しました。
人事異動は、職員の働きがいやモチベーションに大きく影響するものだと、私は考えています。
最後に述べた3つは、私が今の人事担当部局に実践してほしいことをお願いするような形になりましたが、実現すれば少しでも職員とのギャップは埋まると信じています。
また、人事担当部局の職員も、人事異動で偶然配属された職員です。
人事のスペシャリストではありません。
むしろほとんどの職員が素人同然であるため、現場の職員もそのあたりは理解を示してあげましょう。
本記事を通じて、少しでも「人事」を考えるきっかけになれば嬉しく思います。