2022年3月9日に、学芸出版社から『SDGs×公民連携 先進地域に学ぶ課題解決のデザイン』が出版されました。
本書は、SDGsを公民連携に活かす方法と実践している自治体の実例そして、SDGs×公民連携を加速させるためのポイントがまとめられた1冊です。
「SDGs」という共通言語と「公民連携」という手法を知ることで、あなたが今抱えている悩みや地域課題・社会課題の解決に一歩でも繋がるでしょう。
私は令和3年度末まで、まさに一人の実践者として「SDGs×公民連携」の様々な可能性と価値を感じてきましたが、本書はとても実務に活かせる内容ばかりでした。
では、本書にはどのようなことが書かれているのでしょうか?
今回は、『SDGs×公民連携 先進地域に学ぶ課題解決のデザイン』の感想について、ご紹介します。
本書の概要と感想!
『SDGs×公民連携 先進地域に学ぶ課題解決のデザイン』(著者:高木 超 氏)
2022年3月9日発売
高木 超(たかぎ こすも)
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任助教 。国連大学サステイナビリティ高等研究所 いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット研究員 。1986年東京都生まれ。NPO等を経て、2012年から神奈川県大和市役所の職員として住民協働等を担当。その間、明治大学公共政策大学院を修了。17年9月に退職し、渡米。クレアモント評価センター・ニューヨークの研究生として「自治体における SDGs のローカライズ」に関する研究を行うほか、国連訓練調査研究所(UNITAR)とクレアモント大学院大学が共催する「SDGs と評価に関するリーダーシップ研修」を修了。19年4月から現職(国連大学は同年9月着任)。内閣府地域活性化伝道師、ジャパンSDGsアクション推進協議会事務局国際渉外担当ディレクター、鎌倉市SDGs推進アドバイザー、亀岡市参与(SDGsアドバイザー)、川崎市SDGs推進アドバイザー、能登SDGsラボ連携研究員等を兼務。そのほか、ミレニアル世代・Z世代でSDGsを推進する団体「SDGs-SWY」を創設し、2021年3月まで共同代表。著書に『SDGs×自治体 実践ガイドブック 現場で活かせる知識と手法』(学芸出版社)、『まちの未来を描く! 自治体のSDGs』(学陽書房)など。日本評価学会認定評価士。
本書に書いていること!
まずは目次を確認してみましょう。
- はじめに:SDGsにおける公民連携の必要性
- 第1章:SDGsを公民連携に活かすために
- 第2章:実践から学ぶSDGs×公民連携
- 第3章:これからのSDGs×公民連携を加速させる7つのキーワード
- おわりに:公民連携を成功させるポイントと視点
本書は、SDGsを公民連携に活かす方法と実践している自治体の実例そして、SDGs×公民連携を加速させるためのポイントがまとめられた1冊です。
SDGsや公民連携の特徴から10自治体の実例、実践まで、とても丁寧に整理されてわかりやすい内容です。
特に、一つひとつしっかりとまとめられた10の事例は、多くの自治体でも実践出来るものばかりです。
SDGsと公民連携の知識を深めながら、あなたの所属する自治体で「どのように実践出来るか?」を考えるきっかけにしてみてください。
本書を読んだ私の感想!
本書を読んだ私の感想は、「何事にもSDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」は大切なものだと実感した」でした。
これから地方自治体が様々な事業を実践するためには、「公民連携」という概念は欠かせません。
その理由は、人材・財源不足などにより、地方自治体単独で多様化する住民サービスへの対応や地域課題・社会課題の解決が困難となってきているためです。
そこで、「SDGs」という全世界の共通言語をキーワードに公民連携を促進、そして、SDGsの取り組みも加速させていくことが大切となります。
また、本書では、様々な事例やキーワードが幅広い分野でまとめられています。
多くの地方公務員にとって、仕事に活きる考え方やノウハウもあるでしょう。
ぜひ本書を手に取って、じっくりと読んでみてください。
本書で特に私がみなさんに読んでもらいたい3つの内容!
本書は、SDGsを公民連携に活かす方法と実践している自治体の実例そして、SDGs×公民連携を加速させるためのポイントがまとめられた1冊でした。
ここでは、本書で特に私がみなさんに読んでもらいたい3つの内容について、ご紹介します。
SDGsが公民連携を加速させる!
まずは、SDGsが公民連携を加速させることです。
この内容は、第1章ー2「SDGsの特徴とメリット」内に書かれています。
SDGsを様々な場での共通言語に、地域課題・社会課題を民間企業や団体などに開けたものにすることで、自治体や地域社会にとって大きなメリットがあります。
高木さんは、本書内で以下の3つを紹介していました。
- 庁外の基準で現状を見つめ直せる!
- 前提にある課題と目標を多くの人で共有できる!
- 分野横断的な解決策を検討できる!
いずれも、どこの自治体でも課題に感じていることではないでしょうか?
本書では、この3つにおけるメリットの具体的な考え方や行動の起こし方がまとめられています。
とても参考になる内容なので、ぜひご一読ください。
10の事例から実践術を学ぶ!
次は、10の事例から実践術を学ぶことです。
この内容は、第2章に書かれています。
本書において、一番メインの内容が先進地域の事例紹介です。
各自治体10ページから15ページにまとめられており、とても読み応えのある内容となっています。
- 神奈川県鎌倉市
- 神奈川県横浜市
- 石川県金沢市
- 石川県珠洲市
- 愛知県豊田市
- 滋賀県
- 京都府亀岡市
- 大阪府富田林市
- 徳島県上勝町
- 鹿児島県大崎町
各自治体における取り組みの概要や課題について、自治体担当者と民間企業担当者の声も含めて細かく紹介されています。
リアルな現場の声が載っていることから、共感できる内容も多いでしょう。
また、私のコメントと写真も載せていただいているため、ぜひ合わせて読んでもらえますと嬉しく思います。
公民連携を成功させるポイントと視点!
最後は、公民連携を成功させるポイントと視点です。
この内容は、「おわりに」に書かれています。
公民連携を進めていくうえで、高木さんは以下の2つのズレを整えることが大切だと述べられています。
- スピード感のズレ
- 言葉の意味のズレ
私も公民連携を実践している中で、この2つを意識することが公民連携を進めていくうえで非常に重要です。
他にも、様々な公民連携のポイントと実践者の声が紹介されていますので、公民連携の実務担当者をはじめ多くの地方公務員に読んでもらいたい内容です。
まとめ
今回は、『SDGs×公民連携 先進地域に学ぶ課題解決のデザイン』の感想について、ご紹介しました。
本書は、SDGsを公民連携に活かす方法と実践している自治体の実例そして、SDGs×公民連携を加速させるためのポイントがまとめられた1冊でした。
SDGs×公民連携の基礎・実践、そして、これからの未来までわかりやすく整理されていたため、非常に読みやすく知識としてインプット出来た本でした。
また、富田林市も一つの事例として紹介いただいたことに、著者の高木さんには、改めて深く感謝申し上げます。
今回の主役は2人の先輩なので私は完全に便乗させてもらった形ではありますが、富田林市の事例が一つでも多くの自治体の参考になれば嬉しく思います。
SDGs×公民連携を学びながら実践していくためにも、ぜひみなさんにも読んでもらいたいです。
(写真:今回取材を受けた富田林市の3人での記念撮影。撮影時のみマスクを外しています。)