2022年4月28日に、日経BPから『ソーシャルX 企業と自治体でつくる「楽しい仕事」』が出版されました。
本書は、官民共創の現在と未来、ポイント、実例、キーパーソンのインタビューなど、官民共創に関する様々な実践術・思考術がまとめられた1冊です。
住民、自治体、企業の「三方良し」を実現するヒントや、官民共創を成功に導くための方法を見つけることができるでしょう。
私も様々な官民共創を実践してきた1人の地方公務員として熟読しましたが、共感出来ることだけでなく、新しい発見や気付きも多くありました。
では、本書にはどのようなことが書かれているのでしょうか?
今回は、『ソーシャルX 企業と自治体でつくる「楽しい仕事」』の感想について、ご紹介します。
本書の概要と感想!
『ソーシャルX 企業と自治体でつくる「楽しい仕事」』(著者:伊藤 大貴 氏、伊佐治 幸泰 氏、梛野 憲克 氏)
2022年4月28日発売
伊藤 大貴(いとう ひろたか)
株式会社SOCIALX共同創業者。早稲田大学大学院理工学研究科修了後、日経BPの「日経エレクトロニクス」記者を経て、横浜市議会議員3期10年。議員在職時は公民連携の関連政策に積極的に取り組む。2017年の横浜市長選立候補を経て、2018年に起業。伊佐治と「逆プロポ」を開発し2022年SOCIALX参画。著書に『スマートシティ2025 未来シナリオ調査編』『日本の未来2021ー2030都市再生/地方創生編』(いずれも日経BP)など。博報堂フェロー、フェリス女学院大学非常勤講師。
伊佐治 幸泰(いさじ ゆきやす)
株式会社SOCIALX共同創業者 。2004年東京海上火災保険に入社。新規事業開発に従事し、保険における顧客体験変革を実現。金融業界初のデジタルサービスを多数開発。「グッドデザイン賞」「Insurance Asia Awards 2020(Digital Insurance Initiative)」など国内外での受賞歴。その後、企業が抱える新規事業開発の課題と、利益と社会性を両立させるソーシャルビジネスに注目し、伊藤と2020年に「逆プロポ」サービスを立ち上げ、2021年SOCIALX創業。
梛野 憲克(なぎの のりかつ)
株式会社スカラ 取締役 代表執行役社長
東京工業大学大学院総合理工学研究科博士課程修了。博士(工学)。人工知能を専攻するかたわら、学生時代からベンチャー企業の経営に携わり、数々の新規サービスを立ち上げる。株式会社ディーベックス代表取締役社長を経て、スカラに合流。2013年に同社代表取締役社長に就任。新興ベンチャー企業だったスカラを東証1部まで育てる。SaaS/ASPサービスを中心に、共創型IT企業を展開。
本書に書いていること!
まずは目次を確認してみましょう。
- 第1章:新しい官民共創が生まれる
- 第2章:官民共創の現在と未来、6つの環境変化
- 第3章:官民共創を成功に導く6つのポイント
- 第4章:逆転の発想による新しい官民共創
- 第5章:明日から目指せる隣のまちの官民共創
- 第6章:7人のキーパーソンが考える官民共創の未来
- 第7章:民間企業から見た、これからの官民共創
本書は、官民共創の現在と未来、ポイント、実例、キーパーソンのインタビューなど、官民共創に関する様々な実践術・思考術がまとめられた1冊です。
「連携」ではなく「共創」であることの大切さも書かせており、まさにこれからの時代に必要な考え方が整理されています。
官民共創に係る実務担当者や管理職の方は、これからの自治体経営という観点からも読むべき内容が盛りだくさんです。
必ず仕事に役に立つ学びと気付きがありますので、ぜひ本書を読んでみてください。
本書を読んだ私の感想!
本書を読んだ私の感想は、「官民共創の全てが詰まった1冊」でした。
私が官民共創の実務を担当していた頃、「どのようにして進めれば良いかわからない」や「企業にどのようなメリットがあるのか」「庁内のマインドセットが難しい」という声が多くありました。
しかし、本書を読むことで、大枠の仕組みから細かい行動レベルの悩みまで、全て解決出来るのではないかと思います。
特に、様々な視点で官民共創の内容が整理されているため、一つひとつの文章に対する説得力も強いです。
官民共創を通じて社会課題・地域課題を解決するためにも、ぜひ本書をご一読ください。
本書で特に私がみなさんに読んでもらいたい3つの内容!
本書は、官民共創の現在と未来、ポイント、実例、キーパーソンのインタビューなど、官民共創に関する様々な実践術・思考術がまとめられた1冊でした。
ここでは、本書で特に私がみなさんに読んでもらいたい3つの内容について、ご紹介します。
自治体と企業のマインドチェンジ!
まずは、自治体と企業のマインドチェンジです。
これは、第3章に書かれている内容です。
ここでは、「そもそも共創とは?」や「ビジョンの対話」など、自治体と企業が共創するためのマインドについて、丁寧にまとめられています。
自治体と企業が、上下関係ではなく対等なパートナーとしてマインドセットし直し、その仕組みや環境をつくることが成功の重要なポイントになるというものです。
ただし現状は、自治体も企業も、共創に対する理解がまだまだ足りていない課題があります。
本書をきっかけに、共創について改めて考え、一歩踏み出すきっかけになれば良いなと思います。
適切な"問い"で良質なプロジェクトをつくる!
次は、適切な"問い"で良質なプロジェクトをつくることです。
これは、第4章に書かれている内容です。
- 誰の課題を解決するのか?
- どんな課題を解決するのか?
- 自社が取り組む理由は?
社会課題の解決を新規事業開発につなげる際には、この3つの要素の検討から始まります。
そして、1と2は自治体がよく理解しており、企業にとって価値のある情報となるそうです。
このような基本的な問いや対話により生まれる問い、本質的な問いなど、問いを立てることが全てのベースとなる重要なポイントです。
問いを立てることは簡単ではありませんが、本書を参考に、問いの質について考えてみてはいかがでしょうか?
企業には熱量やモチベーションの高さを期待!
最後は、企業には熱量やモチベーションの高さを期待していることです。
これは、第6章に書かれている内容です。
キーパーソンのインタビューとして、現役公務員のオンラインプラットフォーム「オンライン市役所」内の「SDGs×官民連携課」の2人が取り上げられています。
「SDGs×官民連携課」の概要や取り組み、そして、最前線にいる現役公務員の2人が考える官民連携について、熱くまとめられています。
企業のみなさんには、ぜひ現役公務員の想いとして2人の言葉を読んでもらいたいです。
そして、現役公務員のみなさんには、オンライン市役所「SDGs×官民連携課」へ参加いただき、議論を深めてもらえたらと思います。
まとめ
今回は、『ソーシャルX 企業と自治体でつくる「楽しい仕事」』の感想について、ご紹介しました。
本書は、官民共創の現在と未来、ポイント、実例、キーパーソンのインタビューなど、官民共創に関する様々な実践術・思考術がまとめられた1冊でした。
官民共創の基礎から応用まで丁寧に整理されており、まさに"道標"となる内容でした。
これからの未来において、社会課題や地域課題を自治体だけで解決できない時代が到来することは、間違いありません。
自治体と企業、そして、住民が「三方良し」の未来を作り上げていくためにも、本書を読むことをおすすめします。