近年、話題となっている「副業」と「複業」ですが、みなさんは言葉の違いをご存知ですか?
地方自治体の先進的な事例で言えば、生駒市や神戸市、新富町など、本業以外で収入を得ることを認めるケースが増えてきています。
私は、自己実現のための記事執筆や講師・講演、地域活動などの「複業」を行っています。
一人の複業実践者として、本記事を通じて「副業」との違いを、みなさんにお伝え出来ればと思います。
では、どのような違いがあるのでしょうか?
今回は、地方公務員だからこそきちんと理解しておきたい「副業」と「複業」の違いについて、ご紹介します。
「副業」と「複業」を知る!
まずは、「副業」と「複業」の用語の違いから整理します。
とてもわかりやすい違いなので、ぜひ確認してみてください。
「副業」とは?
「副業」は、本業を補うための「副」という位置付けのものです。
一番の目的は、副収入を得ることです。
稼ぐことが第一目的であるため、本業と関係のない業も含みます。
「本業以外でお金を稼ぎたい」という人は、「副業」に当てはまるでしょう。
「複業」とは?
「複業」は、本業とは関係なく「やりたい」を実現させる位置付けのものです。
主な目的は、社会貢献や自己啓発、自己実現などです。
「複業」における副収入は、結果的に後からついてくるかもしれないだけのものです。
「複業」を通じて、自分のやりたいことを見つけることや本業に良い影響を与えることに繋がるかもしれません。
「副業」と「複業」の大きな違いとは?
「副業」と「複業」のそれぞれの意味は、理解できましたか?
次は、それぞれの違いについて、ご紹介します。
目的の違い!
「副業」と「複業」の大きな違いは、目的の違いです。
この一つを知っておくだけで、十分と言えるでしょう。
- 副業:副収入
- 複業:社会貢献・地域貢献・自己啓発・自己実現
「副業」は、稼ぐことが目的です。
そのため、自己実現などを求めるものではありません。
自己実現などを求めるものは、「複業」です。
「副業」は、稼ぐための行動を終えると終了です。
しかし「複業」は、どこまでも追求した行動を起こせることが特徴です。
「プロボノ」や「ボランティア」とはどのように違うのか?
次は、「プロボノ」や「ボランティア」との違いです。
「副業」と「複業」に混在するかもしれませんので、ここでご紹介します。
「プロボノ」は、本業で身につけた専門スキルを活かして、社会貢献・地域貢献の活動を無償で行うことです。
「ボランティア」は、専門スキルは関係なく、誰でも出来る社会貢献・地域貢献の活動を無償で行うことです。
つまり、「副業」との大きな違いは、副収入の有無です。
そして、「プロボノ」と「ボランティア」は、「複業」と同義で使われるケースもあり、明確な線引きの定義がありません。
以下のようにまとめさせていただきましたので、ご参考にしてください。
- 副業:副収入
- 複業:社会貢献・地域貢献・自己啓発・自己実現
※結果的に副収入を得ることもある - プロボノ:専門スキルを活かした社会貢献・地域貢献(無償)
- ボランティア:誰でも出来る社会貢献・地域貢献(無償)
そもそも地方公務員は、「副業」も「複業」も禁止ではないのか?
そもそも地方公務員において、「副業」と「複業」は禁止行為と思っている人が多いのではないでしょうか?
ここでは、地方公務員でも「副業」と「複業」が出来ることを簡単にご紹介します。
副業・兼業を原則禁止とする規定の削除!
まずは、副業・兼業を原則禁止とする規定の削除です。
2018年1月に、厚生労働省が作成する「就業規則モデル」から、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」
という規定が削除され、副業・兼業についての規定が新設されました。
多くの企業が参考にしている「就業規則モデル」であることから、ニュースやWEBメディアなどでは「副業解禁」と言われるようになりました。
また、副業・兼業に関するルールを明確にする「副業・兼業の促進に関するガイドライン」も作成されています。
公務員においては、人事院が作成する「義務違反防止ハンドブック」において、副業・兼業に関する記載があります。
地方公務員の「副業」と「複業」は、禁止ではなく制限である!
次は、地方公務員の「副業」と「複業」は、禁止ではなく制限であることです。
地方公務員法第38条「営利企業等の従事制限」において、任命権者の許可を受ければ「副業」や「複業」が出来ると読み解ける条文があります。
人事院が発出している「義務違反防止ハンドブック」においても事例が紹介されているため、参考にすると良いでしょう。
しかし、細かい運用ルールは、自治体により異なります。
そのため、「副業」や「複業」を行う前には、必ず人事担当部局へ確認するようにしてください。
地方公務員の副業に係る法的なルールについては、以下の記事をご参照ください。
まとめ
今回は、地方公務員だからこそきちんと理解しておきたい「副業」と「複業」の違いについて、ご紹介しました。
私は、地方公務員には「副業」は馴染まず、「複業」を推進していくべきではないかと考えています。
その理由は、本業だけでは得ることができない経験や繋がりを得ることができ、人材育成にも良い効果をもたらすと感じているためです。
しかし、まだまだ「副業」も「複業」も浸透していません。
そのため、周りの理解を得にくいかもしれませんが、本業の仕事をきちんとすることを前提に、地方公務員個人としての力をつけるためのきっかけに行動を起こしてみてはいかがでしょうか?