2022年8月3日に、英治出版から『PUBLIC DIGITAL―巨大な官僚制組織をシンプルで機敏なデジタル組織に変えるには』が出版されました。
本書は、政府や地方自治体などの旧来型大組織の中でデジタル化を実現するための組織論や、デジタル化を進める上でのポイントなどが具体的にまとめられた1冊です。
デジタルチームの立ち上げや仕事の進め方、成果、引き継ぎ方など、成功と失敗の経験に基づく幅広い内容は、多くの地方自治体にとって役立つでしょう。
地方自治体のデジタル化を実現させていきたい地方公務員の一人として、私は本書から多くの学びと気付きをいただきました。
では、本書にはどのようなことが書かれているのでしょうか?
今回は、『PUBLIC DIGITAL―巨大な官僚制組織をシンプルで機敏なデジタル組織に変えるには』の感想について、ご紹介します。
本書の概要と感想!
『PUBLIC DIGITAL―巨大な官僚制組織をシンプルで機敏なデジタル組織に変えるには』
2022年8月3日発売
▼著者
アンドリュー・グリーンウェイ(Andrew Greenway)
ベン・テレット(Ben Terrett)
マイク・ブラッケン(Mike Bracken)
トム・ルースモア(Tom Loosemore)4人の著者は全員、Public Digital社のパートナーである。Public Digitalは大規模なDXに取り組む大規模な国際組織、政府、経営陣の支援を行っている。これまでに30カ国以上の組織と提携し、欧州連合や米州開発銀行をはじめとする複数の国際機関で仕事をしている。2020年、同社は博報堂DYホールディングスの戦略組織「kyu」グループに参入。
本書に書いていること!
まずは目次を確認してみましょう。
- 第1章:試練のとき
- 第2章:なぜ変革が必要なのか
- 第3章:始める前に
- 第4章:出発点を決める
- 第5章:最初のチーム
- 第6章:地固め
- 第7章:信用を築く
- 第8章:議論を制する
- 第9章:従来のやり方に立ち返る
- 第10章:数字を把握する
- 第11章:画一化ではなく一貫性を
- 第12章:基準を設定する
- 第13章:リーダーを見つける
- 第14章:次の展開
- 第15章:バトンタッチを成功させる
本書は、政府や地方自治体などの旧来型大組織の中でデジタル化を実現するための組織論や、デジタル化を進める上でのポイントなどが具体的にまとめられた1冊です。
「デジタル組織の作り方」を軸とした、現場で活かせる組織論やデジタル化のポイントがわかりやすく整理されていました。
また、本書の内容は、イギリス政府のデジタル化推進組織「GDS」の成功事例を基に、とても詳しく解説されています。
デジタルが苦手な人や関わるきっかけがなかった人でも読みやすい内容となっているため、ぜひ興味を持った人は読んでみてください。
本書を読んだ私の感想!
本書を読んだ私の感想は、「政府や地方自治体だけでなく、様々な現場の組織論に活きる」でした。
どのように組織を立ち上げ、目標に向かって進み、そして、継続させていくのかという内容は、旧来型大組織だけでなく様々な組織でも模倣できるでしょう。
また、個人事業主や社会に生きる一個人であったとしても、読むことで仕事に活きる内容が盛りだくさんです。
特に地方公務員にとっては、旧態依然の組織風土を変えるためのヒントも多く書かれています。
政府や地方自治体界隈の方だけでなく、広く多くの人に読んでもらいたい1冊です。
本書で特に私がみなさんに読んでもらいたい3つの内容!
本書は、政府や地方自治体などの旧来型大組織の中でデジタル化を実現するための組織論や、デジタル化を進める上でのポイントなどが具体的にまとめられた1冊でした。
ここでは、本書で特に私がみなさんに読んでもらいたい3つの内容について、ご紹介します。
小さく始める!
まずは、小さく始めることです。
これは、第4章に書かれている内容です。
小さくてシンプルで注目度の高い新規プロジェクトから始めるのが、より適切でより安全なやり方だ。
どのようなサービスも、いきなり完成することはありません。
小さく始めて、繰り返し改良が加えられていくものです。
その中で、本書では、最初の小さく始めるプロジェクトで念頭に置く4つの問いの紹介がありました。
一つひとつの詳しい内容の解説は、ぜひ本書をご覧ください。
- どのくらいの人にどの程度のメリットがあるか?
- よくある問題が解決されるか?
- どのくらい複雑な組織になるか?
- グリーンフィールドなのかブラウンフィールドなのか?
最初のサービスを選ぶ!
次は、最初のサービスを選ぶことです。
これは、第7章に書かれている内容です。
- グリーンフィールド(ゼロからの開発)
- シンプル
- 認知度が高い
- 再利用できる
デジタルサービスの導入は、いきなり複雑なものから始めると「自分ごと」にならないと、私は感じています。
また、ある程度の認知度もないと、デジタルの利便性におけるインパクトを与えることは困難でしょう。
現在では、どの部署の仕事においても様々なデジタルサービスが提供されています。
その際に、どのデジタルサービスを選ぶことが適切かのヒントとして、多くの地方公務員に本章を読んでもらいたいです。
伝える内容を変える!
最後は、伝える内容を変えることです。
これは、第11章に書かれている内容です。
- キャッチフレーズ
- 何事もオープンにする
- インターネット時代のツール
- 広報とデリバリーを一体化する
本書では、他部署とデジタルチームを差別化するための最も効果的な方法の一つとして、外部との対話方法を変える4つの方法が具体的に紹介されていました。
これらの4つの方法は、デジタルチームだけに限らず、どの部署でも活かせる内容でした。
特に地方公務員においては、透明性を高めて信頼を確保するためにも「何事もオープンにする」ことは重要です。
事業の結果のみでなく事業のプロセスをきちんと伝える仕組みづくりをすることが、今の地方自治体に必要なことだと私は感じています。
まとめ
今回は、『PUBLIC DIGITAL―巨大な官僚制組織をシンプルで機敏なデジタル組織に変えるには』の感想について、ご紹介しました。
本書は、政府や地方自治体などの旧来型大組織の中でデジタル化を実現するための組織論や、デジタル化を進める上でのポイントなどが具体的にまとめられた1冊でした。
デジタルチームの立ち上げや仕事の進め方、成果、引き継ぎ方など、明日からの仕事に活かせる内容が盛りだくさんでした。
また、地方公務員に限らず、多くの組織やビジネスマンにとっても、様々な学びやヒントを得ることができるでしょう。
これからの時代を生きる私たちにおいて、必ず読んでおきたい1冊だと思いました。